農林水産省の平成20年度獣医師届け出状況によれば、日本全国の届出者総数は35,028人。九州には4,785人で全国の約13%である。これらの数字には開業医のほか、官公庁に勤務する職員もいる。県別で最も多いのは鹿児島県の1,010人、続いて福岡県が948名、熊本県635人、宮崎県598人となっている。もし、日本全国の獣医師が一堂に会せば1日でワクチン接種並びに殺処分は終わるだろう。九州中の獣医師だけでも集まれば短期間で終わると思われる。だが、実際には空気感染などの二次感染を恐れ、応援に行きたくてもいけない、派遣したくてもできない状況がある。
実際、福岡県内の獣医師で九州外のとある自治体に技術指導の派遣要請されていたのが、口蹄疫発生後にキャンセルされている。宮崎県の農家とは関わりがなくても九州にいるだけで一括りにされているようだ。まさに言われなき風評であるが、それだけ業界が神経質になっている表れでもある。しかし、宮崎牛は今回の口蹄疫で消滅の危機に瀕している。1日に何万と感染は拡大し、いずれはなくなる。このような危機的状況下で「宮崎を助けよう」、「日本の畜産を俺たちが守るんだ」などと気概ある獣医師が少ない事がとても残念でならない。
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