＜本特集について＞
　2010年4月19日（月）、NetIB-NEWSは「激変時代の日本　地域自立の新ビジョン」シンポジウムをアクロス福岡にて開催しました。本記事では同シンポジウムのなかから新党大地代表・鈴木宗男氏による講演内容を一部抜粋して紹介します。

自民党政権の負の遺産
　ここは福岡ですから、怒られるかもしれませんけれど、麻生太郎さんも偉そうに「俺は金持ちだ」「セレブだ」みたいな顔をして鞄を持って歩いている。あの鞄、オーストリッチといって何十万もするもので、我々が買える代物じゃありません。私はあんな鞄を持ちたいとは思いませんが。
　その麻生政権時代の定額給付金ですが、2兆円あるならば、私は市町村に配った方がいいと思いますよ。1,700の市町村しかないのですから、ザッと頭割りしても10億円ずついけます。ですから、それを5,000人以下の村には1〜2億円で、1万人以下だと3億円でとか規格付ければ、福岡には100億円くらいくるはずです。その金を自由に使えれば生きた金です。そうする方が、税金の正しい使い道だと思います。
　しかも、麻生さん自身が、予算を提案したときは「もらうかどうか、まだ考えていない」と言い、その後「俺はもらう」なんて言っています。あの人が1万6,000円もらってどうするのですか。金に不自由していない人ですから。
　麻生政権なんて弱者切り捨ての最たるもので、母子加算を切ったではないですか。鳩山さんは復活させましたよ。これだけでも評価してください。子ども手当だって、2万6,000円出すと言っていましたけれど、これは借金してまで渡す金ではないと思います。今の環境を考えると、半分の1万3,000円、これだって私は十分だと思います。
　あるいは後期高齢者医療制度、障害者自立支援法―これは国だけではなく、市町村、自治体も関係してきます。負担がありますから。国だけで止めると言ったら、市町村にツケが残るからダメなのです。それをソフトランディングさせるのに2年間。「それで止めます」というのを鳩山さん明確に言っていますから、それでいいじゃないですか。

何としても政権を守る
　山﨑先生が言ったように、鳩山さんも人は良いのです。それで苦労している部分があるから、もう少し待っていただければ「やっぱり政権交代して良かった」「民主党で良かった」と感じるはずです。
　ちなみに、今の政府で鳩山さんと一番古い仲なのは私です。鳩山さんが選挙に出たのが昭和61年。私が昭和58年に出ており、当時は中選挙区で福田派と宏池会のつわものがいました。みんな怖がっていましたが、鳩山さんが最初に出たときは私だけで特攻隊隊長を務めました。だから、鳩山さんと私は気心が知れているし、鳩山さんのことを誰よりも知っています。
　ところが、24年経って今や内閣総理大臣ですから。時が人をつくってきたし、鳩山さんもそれなりに経験していますから、ぜひともここはもう少し時間をください。鳩山さんは「柳に風」です。フラフラしているようだけれど、倒れないでしょ。根は張っています。
　そして、「昨日言ったことと今日言ったことが違う」というのも、モノは言いようですよ。何も違ってないです。これも官房長官の説明が悪いのです。「昨日言ったことと今日言ったことが違う」と批判されても、「皆さん、それは違います。鳩山首相は『友愛』です。人の心を大事にしているのです。国民の思い、国民の心がどこにあるのか、いつも気にしておられます。だから、昨日は右に軸足を置いて話したのです。今日は左に軸足を置いて話したのです。そのうえで最大公約数を得る。その判断を鳩山はいつでも考えています。だから皆さん、ブレてはいません。懸命な政策展開のために、国民の思い、心をつかもうとしているのです。この点をご理解いただきたい」―こう説明すれば、「あぁ、なるほどな」となるわけです。
　この点でも、官房長官というのは大事です。スポークスマンですからね。そういう点で、鳩山さんは人に恵まれていないという感じはします。
　今日来ている皆さん、あるいは多くの国民の皆さんが心配していることは間違いないと思います。しかし私は、やはりここは支えていく。せっかくの政権交代ですから、何としても守る。この気合が大事ですね。皆さま方にも、厳しい話をしていただきたいと思います。

【鈴木　宗男（すずき　むねお）】
1948年、北海道・足寄町生まれ。拓殖大学卒業。衆議院議員・中川一郎の秘書としてスタートし、83年、衆議院議員選挙に初当選。その後、防衛政策次官、外務省政務次官、衆議院議員運営委員長、北海道・沖縄開発庁長官、内閣官房副長官、自由民主党副幹事長、同総務局長などを歴任。02年、斡旋収賄の容疑で逮捕され、03年保釈。05年9月の衆議院議員選挙で新党大地を旗揚げし、当選。09年9月、衆議院外務委員長に就任。

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