口蹄疫騒動が発生して数ヶ月が経過した。赤松大臣への批判、各自治体の防疫対策などがメディアを賑わせている。しかしながら、半径10キロ以内殺処分、雄種牛全頭処分により、県の獣医師らが電気ショックなどで殺処分する凄惨な状況が伝えられたことがとても印象深い。
生産者は食肉用の豚や牛を飼育するが、日本では食肉センターに依頼するケースがほとんど。よって生産者が家畜の死を見届ける事はほとんどない事実を初めて知った方々も多いだろう。生産者もいずれ殺される事がわかっていて出荷していたが、実際、身近で殺されると心が痛むだろう。心のケアが必要だ。
小生は小学生の頃、祖父が鶏を絞めて切り裁く姿を見ていた。当然ながら衝撃を受けたが、その後の人生では大いに役に立ったと思っている。我々が普段口にしていた鶏、豚、牛であるが、祖父からは「人間は家畜を殺して食べる事で生きている。それゆえに尊いものだから、感謝して食べなさい」と教えられた。食べる前に「いただきます」と手を合わせて食べるのは食物に感謝する事であると。当たり前の事であるが、今、どれだけの人がこの事を意識しているだろうか。身近な死を見届ける事が出来ないから、人の命を軽視した事件が多発すると指摘する人たちも多い。
今回の口蹄疫騒動で被害を受けた宮崎県の畜産農家の方々の事を考えると心が痛いが、我々は口蹄疫騒動を受けて改めて食べ物に対する感謝の心を忘れない事と命の尊さを学ぶべきではなかろうか。飽食の時代に入り食料残さは依然として問題となっている。命の尊さと我々の食卓に並ぶ家畜に対し感謝の心を忘れてはならない。
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