<理解が低い日本の政治家>
2010年2月、日本中の技術研究者に衝撃を与えた問題発言があった。「2番じゃダメなんですか?」―事業仕分けにおける民主党・蓮舫参議院議員の発言である。
その件について髙本氏は、「あのとき議題になっていたスーパーコンピューター開発には、たしかにムダがあったかもしれません。しかし、あの発言に対して、何も思わずにそれを聞き流していたほかの政治家の対応に大きな失望を感じました」と怒りをあらわにする。
後日、この発言は多くの批判を浴びた。政治家の技術に対する認識が非常に低いことを露呈させた一幕である。テレビをはじめ、当時、彼女を「必殺仕分け人」などともてはやしたマスコミも同レベルではなかろうか。
こうした風潮に失望したのは、髙本氏ばかりではない。実際のところ、あの発言後に日本に見切りをつけ、海外で研究を続けようと考え始めた研究者も少なくないという。
<古賀衆議院議員にかかる期待>
もちろん、すべての政治家が認識不足というわけではない。髙本氏のもとへ民主党の若手議員から「詳しい話を聞きたい」という要望もあったという。今回、窮地に立たされている同社へ救いの手を差し伸べるべく、古賀敬章・衆議院議員が髙本氏と対談した。
古賀議員は、技術で世界をリードすることが日本の将来に欠くべからざることだと理解している。そのためには、「政、財、官、学の連携強化」が必要だと考えており、テムザックが日本政府からの支援を求める上では強力な味方となってくれるだろう。
これまで髙本氏は、提携はしても本格的な移転までは考えていなかった。そこには、日本人としてのプライド、郷土・日本への想いがあった。また、すでにあるニーズから考えても、同社が開発するロボットの市場化が本格的に進めば、日本の経済成長に大きく貢献する可能性は高い。
今回、古賀議員は、ロボット技術振興のための議員連盟結成を髙本氏に誓った。資金援助のみならず、法制度の整備における政治サイドの支援も必要不可欠であるため、今後の展開に期待がかかる。
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