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政界インサイドレポート

参院選の裏で始まった民主党大戦争
政界インサイドレポート
2010年7月 1日 08:00

 参院選の風向きが徐々に変わりつつある。
 菅政権の登場でV字回復した内閣支持率が、「消費税10%」を参院選の公約に掲げたことが裏目に出て急降下し始めたからだ。
 民主党内では、"謹慎中"だったはずの小沢一郎・前幹事長が増税方針に反対の声をあげ、それを枝野幹事長や閣僚たちが「無責任な大衆迎合だ」(枝野氏)と批判するなど、増税推進派と増税反対派の候補が入り乱れる分裂選挙の様相さえ呈してきた。
 そのくせ、言いだしっぺの菅首相は、「参院選後にすぐ上げるわけではない」「超党派で議論することが私の提案」とトーンダウンして党の公選ビラから「消費税」の文字を消すなど"増税隠し"に腐心しているのだから迷走ぶりは明らかだ。
 自民党からは、「橋本内閣首相の発言のぶれで事前の自民大勝の予想から一転して大敗した12年前の参院選に似てきた」(閣僚経験者)との指摘もあるが、民主党にとっての救いはその自民党にはもはや敵失を突いて党勢を挽回する力も残っていないことだ。
 民主党の選対関係者は、「与党の過半数確保は厳しいが、自民党も地方の保守地盤の議席を守るので精一杯、みんなの党も一時の勢いが完全に止まった」と、"勝者なき参院選"を予測する。

<仙谷―枝野の"反小沢クーデター"の行方>

 菅政権の迷走の原因は、首相の両脇を固める仙谷官房長官と枝野幹事長がこの選挙で一気に"反小沢クーデター"を仕掛けようと焦ったことにある。
 小選挙区制の下では、党の金庫と公認権を持つ執行部が強大な権限を握ることができる。それを天下に示したのが6年前の小泉郵政選挙であり、大量の小沢チルドレンを生んだ昨年の総選挙だった。参院選も基本的に事情は変わらない。
 鳩山&小沢のダブル辞任によって、菅政権の中枢に入った仙谷氏と枝野氏は、官邸の機密費と党の金庫を手にし、執行部と新閣僚に反小沢派をずらりと登用した。それまで小沢氏の力の源泉だったカネとポストの配分権を奪取したわけである。
 反小沢派にとって最大の不安は9月の代表選挙。幹事長を辞任したとはいえ、小沢氏は党内で150人ともいわれるチルドレンや"参院のドン"輿石東・参院議員会長を中心とする参院の大勢力を抑えている。代表選に小沢氏が候補を立てて菅首相が負けることになれば、反小沢派の天下は3カ月で終わってしまう。
 そこで支持率が高いうちに参院選をやろうと重要法案の成立をすべてあきらめて国会を閉じ、早期選挙に勝負をかけた。菅首相で「大勝」すれば、代表選で首相を交代させる大義名分がなくなり、仙谷―枝野体制は盤石になる。小沢氏との権力闘争の第2幕をどう戦うかを前提に戦略を組み立てていたのである。
 民主党鳩山グループのベテラン議員が語る。
「菅さんと新執行部は"禁断の果実"に手をつけた。霞が関、つまり財務省と手を結んだのだ。菅さんは鳩山さんが普天間問題で役人抜きの政治主導にこだわって最後は失敗したことを副総理として見ていたから、官僚を敵に回したときの怖さを知っている。ましてや、9月の代表選で小沢さんと戦わなければならない時に、一方で本気で行革をやって官僚叩きに走れば、小沢さんと霞が関の両方を敵に回すことになる。そうなれば役人からも足を引っ張られ、絶対に政権は持たない。だから、まず官僚と手を組み、政権を安定させて小沢さんに対抗しようとした。民主党の総選挙のマニフェストを大幅に修正し、財務省の悲願である消費税増税を掲げたのは霞が関を味方につけるためです」
 財政規律派の仙谷氏や枝野氏らにすれば、総選挙のマニフェストはもともと小沢代表時代にまとめた"バラマキ政策"で、自分たちの政策の方向とは違うという思いが根底にはあった。
 一気に政策面でも「小沢色」を転換させようとしたのである。

<早くも来年の「解散」をめぐる駆け引きが展開>

 しかし、そうした菅政権中枢の戦略は、参院選で与党過半数を取れなければ大きく狂ってしまう。
 小沢氏にとっても「消費税増税」と「マニフェスト修正」は反撃の好機となった。
「選挙で約束したことは、どんなにしんどいことであってもやり遂げなければ、本当に信頼を勝ち取ることはできない」
 選挙戦で小沢氏はそう繰り返して自ら擁立した新人候補を中心に全国行脚を続けている。
 小沢支持派の参院幹部の1人は語る。
「菅首相や新執行部が脱小沢路線を鮮明にしているとはいえ、小沢さんも民主党が参院選で大敗でもしない限りわずか3カ月で総理をひきずりおろすことは難しかった。ところが、消費税やマニフェストの内容で対立する現在の状況なら、代表選で正面から政策論争を挑んで対立候補を立てることができる。新執行部は政策面での脱小沢にこだわりすぎて、逆に小沢さんに菅おろしに動く大義名分を与えたのではないか」
 水面下の戦いはすでに白熱しつつある。民主党のマニフェストには衆院比例定数の80削減が盛り込まれており、枝野氏は、「秋の臨時国会に定数削減法案を提出したい」と表明した。反小沢系議員は、「民主党の比例代表議員には小沢チルドレンが多い。小沢派削減が狙い」といってはばからない。
 さらに菅首相周辺からは、「来年の通常国会後に消費税引き上げを掲げて解散を打つ」との情報まで流されており、「解散風」を吹かせることで選挙資金と公認権を握る執行部が党内の反対勢力を黙らせたい狙いがうかがえる。
 参院選のさなかに来年の解散論が出ること自体、尋常ではないが、それほど民主党内の戦いは泥沼化しており、参院選後に党分裂含みの抗争が勃発するのは避けられそうにない。

【千早 正成】


【先着50名】政界の動きが分かる政治セミナー~講師・武冨 薫 氏
 7月2日18時から、データ・マックス大会議室でマックスセミナー「参院選後の政界潮流を読む」を開催いたします。

 講師は、福岡市出身の政治ジャーナリスト・武冨 薫(たけとみ かおる)氏。独自の切り口で政界の動きを読んできた武冨氏が、参議院選挙後の政界の動きを予想します。
 主なトピックは、「菅『全共闘&松下政経塾』連合政権誕生は、政界再々編の序章」「財務官僚が目論む民主・自民『消費税増税派』の大連立」など。
 鳩山政権誕生後、目まぐるしく変化する政界について、その展開が気になるという方に、お勧めしたい内容となっております。

 ただし募集は、先着申し込みで50名までとします。お早めのご応募をお待ちしております。会費は、懇親会費込みで5千円です。

<日 時>
7月2日(金)
18:00~19:30 講演会
19:30~20:30 懇親会

<場 所>
データ・マックス 大会議室
(福岡市博多区中洲中島町2-3 福岡フジランドビル8F)

<会 費>
5,000円(税込、懇親会費込み)

※お申し込みはこちら(PDF) >>


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