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選挙レポート

菅直人に翻弄された候補者(上)~参院選福岡選挙区・総括
選挙レポート
2010年7月15日 15:56

<トップ当選をめぐる戦い>

大家敏志氏大久保勉氏
 一瞬の決着だった。11日午後8時過ぎ、自民党新人・大家敏志氏当選確実の報道が出た。それに民主党現職・大久保勉氏の当選確実が続いた。2議席に7人の立候補者、政権与党の支持率低下という背景もあり、当初、大混戦が予想された参議院議員選挙・福岡選挙区。しかし、フタを開けてみれば全国屈指のスピード決着だった。獲得票は、大家氏が77万4,618票、大久保氏が67万3,749票。3位のみんなの党新人・佐藤正夫氏(28万7,349票)に大差をつけた。

 自民党・大家氏陣営が掲げた選挙スローガンは「絶対に負けられない戦いがある」。そして、自民党のスローガンは「いちばん」である。目標は、あくまでも「トップ当選」。公認候補として、捲土重来を期す党の威信をかけた選挙戦であった。
 対する民主党は、当初、2議席の独占をねらった。2人区以上にふたりの候補者を立てるのは、小沢一郎・前幹事長の作戦であったが、その指揮を取るべき小沢氏が「政治とカネ」問題で失脚。その後、菅政権の誕生と状況は二転三転した。
選挙期間中の取材を通して感じたのは、民主党は自らが起こした状況の変化に対応できないまま参院選に突入したということである。

 「決して楽観はできない。大久保がなぜ走るか。無党派層で票の上積みをしなければいけないからだ」(大久保氏陣営関係者)。

マラソン遊説する大久保氏 17日間の選挙期間中、大久保氏はマラソン遊説で100km以上を走った。すべての候補者のなかで彼ほど体を動かした人はいないだろう。一旦、V字回復はしたものの、また低下し始めた菅政権の支持率に危機感が高まる。しかし、それはトップからの転落に向けてのものだった。複数の団体から推薦状を獲得し、再選へ向けての下準備を着実に行なってきた。結果を見れば、大久保氏陣営も「トップ当選」が目標だったことがうかがえる。与党の公認かつ現職として、"2番じゃダメ"なのである。
 したがって、ライバルは自民党・大家氏ということになるのだが、6月24日の公示以降、大久保陣営から「一番怖いのは大家ではない。堤だ」という声が聞こえ始めた。

(つづく)

【山下 康太】


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