~早くも次の代表選に向けて走り出した前原、岡田、原口、樽床ら第2世代
◆「小沢ガールズ」をめぐる攻防
菅陣営は小沢ガールズの足止めにも成功した。青木愛氏の不倫報道は代表戦につきもののスキャンダル合戦だろうが、むしろ選挙のイメージ戦略上影響が大きかったのは、 薬害肝炎九州訴訟原告団代表の福田衣里子氏の小沢支持表明が遅れたことだった。
実は、「薬害エイズ問題の解決」を看板にする菅首相は、肝炎訴訟のシンボルである福田氏を取り込んで「薬害の菅」をアピールしようと引き抜き工作を仕掛けた。選挙戦終盤の9月8日、菅首相は難病とされるHTLVウイルスの患者団体と面会した。同ウイルスの感染者は九州に多く、福田氏はその支援活動を行なっている。
菅陣営の仙石官房長官は、福田氏の後援会幹部を通じて患者団体と首相との面会をセットし、福田氏も同席するように要請したのである。その日、菅陣営は緊急集会を行なっており、「小沢ガールズ」の福田氏が菅派集会に参加すれば小沢陣営には大きな打撃だ。
もっとも、菅首相は薬害エイズ以後はそれほど薬害解決に熱心だったわけではない。昨年末の臨時国会で、政府は福田氏が推進した肝炎対策基本法を国会日程の都合で継続審議にしようとしたが、福田氏が当時の小沢幹事長に直訴して制定にこぎつけた経緯がある。 HTLVウイルス対策でも、患者団体が今年春に長妻昭・厚生労働相ら政務3役に面会を働きかけた際には実現しなかった。代表選さなかに菅首相が患者団体と面会したのは明らかに人気取りパフォーマンスといっていい。
「福田さんは自分が小沢支持を表明したらせっかくのHTLV患者団体と首相との面会が実現しないのではないかと苦しみ、面会実現まで中立姿勢をとっていた」
そして菅首相と患者団体との面会に同席した後、福田氏は菅首相の総決起集会には参加しないで小沢支持を表明した。菅陣営は福田氏の寝返り工作には失敗したものの、マスコミの注目度が高い福田氏が代表選序盤から、「薬害対策には菅首相より小沢氏の方が協力的だった」と発言すれば「薬害の菅」のメッキが剥げていた可能性があるだけに、福田氏の小沢支持表明を後半まで足止めした効果は大きい。
▼「菅続投」なら短命内閣、民主党分裂はない シリーズ一覧
・代表選の陰に「反創価学会宗教団体」の動き(1)
・「小沢ガールズ」をめぐる攻防(2)
・「次の代表選」をにらんだ票集め(3)
・「大臣手形」乱発のツケ(4)
・小沢「最後の巻き返し」(5)
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