~早くも次の代表選に向けて走り出した前原、岡田、原口、樽床ら第2世代
◆「大臣手形」乱発のツケ
菅首相が再選された場合、大幅な内閣改造による論功行賞は難しい。まず人事で不満が噴出しそうなのだ。
菅首相は女性議員の集まりで「閣僚の半分は女性に」とリップサービスをしていたが、首相及び連立を組む国民新党の1大臣を除く大臣ポストは16人。このうち岡田外相、前原国交相、野田財務相、長妻・厚労相、北沢俊美・防衛相、玄葉光一郎・公務員相、蓮舫・行政相の7人は菅氏の推薦人に名を連ねており、仙谷官房長官を含めた8人は「留任確実」と見られている。
さらに選挙戦終盤に菅支持を表明した民社協会は、川端達夫・文部科学相、直嶋正行・経産相、中井洽・国家公安委員長の3閣僚を出しており、「閣僚枠3人の維持」が支持の条件だったとされる。それらを留任させると、交代可能な大臣枠は残り5人しかない。
一方、菅陣営の論功行賞で「大臣ポスト」を約束されたと見られているのは、菅選対の事務局長を務めた鉢呂吉雄氏、菅グループ重鎮の土肥隆一氏と岡崎トミ子氏、小沢幹事長時代の党資金の使途追及で貢献した小宮山洋子氏、民社協会会長の田中慶秋氏、鳩山グループ代表の大畠章宏氏、石井一氏など少なくとも7人。さらに執行部人事で枝野幹事長と安住淳・選対委員長を交代させれば、陣営幹部である2人の処遇も必要になる。小沢支持派や中間派を完全に排除しても、大臣ポストは全く足りない。
さらに菅内閣の副大臣、政務官の7~8割は今回、留任を希望して菅首相を支持している。交代させれば「約束が違う」となり、多くを留任させるとポスト希望の中堅・若手に不満が高まる。
また、国会議員票で接戦を演じた小沢支持派を完全に干しあげれば、人事を決めても両院議員総会で承認されないという事態もありうる。
ひとつ間違えば、かつて2002年の代表戦で勝利した鳩山氏が人事の失敗で批判を浴び、わずか3ヶ月で代表辞任に追い込まれた二の舞にもなりかねないのだ。
▼「菅続投」なら短命内閣、民主党分裂はない シリーズ一覧
・代表選の陰に「反創価学会宗教団体」の動き(1)
・「小沢ガールズ」をめぐる攻防(2)
・「次の代表選」をにらんだ票集め(3)
・「大臣手形」乱発のツケ(4)
・小沢「最後の巻き返し」(5)
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