リコールにおける最大の敵は1カ月以内という時間制限。実際に署名活動を行なっている市民ボランティアにもそのことを口にする人は多い。会社から休みをもらい署名活動に参加している杉浦聡さんもそのひとりだ。
こんなにも民意が届きにくい制度はすぐに変えたほうがいいと思います。やってみるまでは分かりませんでしたが、たったの1カ月間で36万6,000人もの署名を集めることがどんなに大変なことか――。
区別で署名簿を作ることも大きな制約になっています。実際に誤って異なる区の署名簿に署名し、無効になっているケースも多いのです。署名を集めることもすべてボランティアでやらなければなりません。やっと集まった貴重な人員が、さまざまな制約のために割かれてしまいます。
民意を届けることに、こんなにも苦労をしなければならないのでしょうか。この制度(リコール)は、本当の意味での民主主義に即していないような気がします。
名古屋市議会政務調査費の情報公開を求める市民運動を行なってきた請求代表人のひとり、福島操さんは、市政と民意について熱く語った。
市民運動を通して、名古屋市政が保守的で民意を得ず、一方の市民も無関心であるということを見せつけられてきました。それを何とか変えたいと運動を続けているなかで河村市長に出会ったんです。
河村市長は、根本的なところで市民の姿勢と民意をいかに強調するかというところにポイントを持ってきていると思います。だから私は、河村市長と一緒に「この市政を変えたい」と考えたんです。
確かに、いろんな発言のなかで、細かいところで河村市長も考えなければいけないところはあります。でも、まずは民意をみんなへ問いて、市政のあり方、議会も含めて、「変える」というところから始めない限りは、名古屋は絶対に変わらない。
今までの議員さんたちの体質は、ここまでやらなければ変わらない。それを15年近く、見続けてきました。自分の特権を世襲で子どもの代に譲りたいだけの議員もいます。それを知っている私は、その人たちにもう市政は任せられない。それが私の信条です。
(つづく)
【山下 康太】
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