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怪文書から導かれた福岡市政の実態(上)
行政
2010年10月28日 09:37

<正義派職員が謎の退職>
 10月某日、一通の怪文書が弊社に届いた。差出人は不明。内容は、ある福岡市職員が某政党市議会議員から、2011年の統一地方線・福岡市議選へ同党公認で出馬させる旨を伝えられ退職。ところが、その話自体が消滅し、妻子を抱え路頭に迷っているというものであった。怪文書に書かれていたのは、民主市民クラブの栃木義博市議。現在、栃木市議は同件に関してノーコメント。一方、退職した市職員は実在していることが判明した。以下、この市職員をX氏とする。取材を続けるうちに、X氏の退職には、怪文書の内容とは違った側面が見えてきたのである。

福岡市役所 X氏は、福岡市役所において福岡市議会事務局の調査課に属し、正義漢として有名な人物で、市の情報公開条例の制定にも大きく貢献したという。城南区で8期連続トップ当選の実力派・高山博光市議(平成会)に至っては、「自分の後継者にスカウトしたい」と、かねてから期待を寄せていた有望な人材であったという。しかし、その信念を貫くスタイルが自身に災いした。福岡市役所内において上から疎まれてしまったのである。X氏を知る職員は、「頭は切れたが、"公務員として"優秀だったかどうか...」と語る。
 X氏を待っていたのは博多区役所・生活保護課への異動であった。そこで係長として生活保護費の不正受給など問題となるケースが多い地域を担当させられたという。近年急増する生活保護受給者に対し、ケースワーカーの不足が問題となっている今、現場はまさしく戦場と化している。煙たがられて本庁から追い出されたのか、自分から志願したのかは定かではないが、異動先でたいへんな苦労をしたのは想像に難くない。

 X氏は、今年(2010年)の8月末で博多区役所に出勤しなくなり、同10月1日をもって退職したという。配属先の部署を尋ねたところ、退職の理由について職員は「知らない」の一点張り。「仲のいい同僚の方にお話をうかがいたい」と申し入れても、「そんな人はいない」と不審な対応を取られた。
 怪文書の内容通り、選挙に出るために退職したのであれば、「応援よろしくお願いします」と言って辞めていってもよさそうなものである。職場の人間の誰もが「知らない」というのは、一体どういうことだろう。何か隠したい事実でもあるのか。尋常ならざる辞め方をしたという可能性も浮上してきた。

(つづく)

【行政取材班】

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