14日、投開票が行なわれた福岡市長選挙は、元アナウンサー・高島宗一郎氏(36)が戦後最多となる8人が立候補した混戦を制して当選した。
ふたを開けてみれば、次点の現職・吉田宏氏(54)に約6万5千票の差をつける圧勝とであった。当初、自民、公明、みらい福岡の福岡市議会3会派の支持での出馬であった高島氏だが、次第に自民党と公明党が公認候補顔負けの応援を行なうようになっていった。
太田誠一前衆議院議員が選対本部長に就き、選対最高顧問となった麻生太郎元首相は何度も街頭で応援演説を行なった。谷垣偵一総裁、石原伸晃幹事長、石破茂政調会長、小池百合子総務会長をはじめとする著名議員が続々と来援。民主党との対決姿勢を前面に打ち出した。「党対党の戦いに持ちこめたのが勝因」と自民党関係者は語った。尖閣諸島沖の中国船衝突事件およびビデオ流出問題による民主党政権の支持率低下が追い風となったと言えるが、高島氏の勝因はそれだけではない。
若い市長候補を精神面においてサポートした、ツイッターで参加者を集い、大学生や若者を中心とするツイッターで参加者を募った「フォロー・メンバーズ」の存在は大きい。突然の出馬報道により、キャスターを務めていた番組から突然姿を消した高島氏。マスコミの取材から逃れるためホテルに10日間、身を隠した同氏を支えたのは、九州大学大学院でともに学ぶフォロー・メンバーズのひとり、松藤氏であった。
「まったく手作りのスタートだった。看板のデザインは自分が行ない、HPは高島氏の友人が作った。『あきらめるのはやめましょう』『みなさんと一緒にまちを作りましょう』と訴えた高島氏の明るいキャラクターにみなが共感を抱いた」と、松藤氏は選挙戦を振り返っての感想を述べた。「フォロー・メンバーズ」は学校や仕事の合間をぬって、常時10から15名が高島氏の選挙活動を手伝っていた。
「行政のプロを欲しいのであれば、テクニカルなものを求めるのなら他に選択肢があった。そのなかでわざわざ私を選んで下さったのは、市民に届く言葉で伝えることへの期待だと思う。これからも市民目線で、市民の言葉で発信していきたい」という今後の抱負を述べた高島氏。彼のもとで『市民目線の福岡市政』がどのように行なわれるか注目したい。
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