「自分の会社がつぶれていたことを『知らなかった』なんて、誰が信じますか!」と、怒りをあらわにするのは古賀市の有権者。11月28日に投開票が行なわれた同市の市長選で、現職を破り当選した竹下司津夫氏の経歴に、事実と異なる内容があることが発覚したのだ。
竹下氏は8月の出馬表明後、3年前に商業登記が閉鎖された会社((株)国際文化企画)の代表という肩書きをパンフレットや名刺に記載して配布していた。さらに告示の3日前に同名の会社を登記したことも分かっている。
竹下氏は「登記閉鎖を認識していなかった」とし、「事業は継続していた」と主張。これに対し、古賀市民の怒りが爆発。市選挙管理委員会に対し、当選効力に関する異議申し立てを行なう一方、真相究明のための刑事告発に対する賛同署名を集めている。
選挙結果が僅差であっただけに、問題は深刻だ。竹下氏の獲得票は1万1,892票。現職は1万955票であった。その差は、有効投票数2万2,847票の約4%にあたる937票。まぎれもなく接戦であり、「ちょっとしたことでも結果が変わっていた」と見る向きは少なくはない。
また、選挙において「経済産業の振興」を訴えていた竹下氏が、"民間企業経営者"という経歴をちらつかせていたことも問題視されている。告発人代表のひとりである有岡利夫弁護士は、「投票行動に少なからず影響を与えている。1万人以上の支持を集めた結果は重い。市民に対する謝罪なら、政治的責任を取るべきだ」と、公憤している。
署名の回収場所は、竹下氏に破れた現職・中村隆象氏の後援会事務所。きょう(13日)の21時が募集締切となっていたが、同事務所は「告発日を15日にしたため、引き続き14日も署名を集める」としている。また、集まった署名数については、まだ把握していないとしたうえで「手応えを感じている」とコメント。署名数は2,000名が目標という。
ちなみに、当選を目的とした候補者の身分、職歴、経歴などの虚偽を公表した場合は、公職選挙法235条「虚偽事実の公表罪」に抵触し、2年以下の禁固または30万円以下の罰金といった罰則が設けられている。また、竹下氏の当選が無効となった場合、次点の繰り上げ当選とはならず、再び選挙が行なわれる。
【山下 康太】
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