目指すは「観光ビジネス都市」 ハウステンボスを変える経営者魂
<不思議とアクセスが良くなっていく>
―しかし、矢継ぎ早に事業を立ち上げており、次々と手を打っていらっしゃいますね。
澤田 そういうイメージをつくるのが仕事ですから。だから面白いと思いますし、ハマっているのです。ベンチャー1号は英語村、ベンチャー2号は上海-長崎間の船会社、そしてベンチャー3号は医療観光で、その後もどんどんベンチャーを増やしていきます。すべて成功させれば、みんながここでベンチャーをしてみたいと思うでしょう。そうなれば、ハウステンボスは「観光ビジネス都市」になっていくと思いませんか。もともと3年計画ですので、それまで私がここにいるかは分かりませんが。奥さんも子どもも東京ですからね。この年で単身赴任するとは思いませんでした。
ただ、福岡には観光客がけっこう来ているかもしれませんが、乗り入れ人数は羽田や成田と比べて10分の1、長崎はさらにその10分の1で、こちらにはほとんど人が来ていないのと一緒です。やはりアクセスを良くしないといけません。ここにきてJALが増便になったり、スカイマークが東京や神戸から長崎に飛んできたりして、少しは良くなる兆しが見えています。
―となると、当然お互いに協力する部分が出てくるわけですね。
澤田 もちろん、スカイマークとタイアップしてみんなが行きやすいツアーを組めば、交通費はもっと安くなると思います。今まではJALやANAしか飛んでおらず、ツアーが高止まりしていましたから。我々にとっては非常にプラスだと思います。スカイマークに関しては、別に僕が仕掛けているわけではなく、たまたまですよ(笑)。多少は運があるからだと思います。少しはアピールできたのではないでしょうか。
いずれにせよ、我々としては助かっております。席が増えて値段が安くなれば、お客さまも増えますから。私の知らない間に集客システムがどんどんできあがってくる。不思議でしょう。
【児玉崇・大根田康介】
<プロフィール>
澤田 秀雄(さわだ ひでお)
1951年、大阪府生まれ。73年に旧西ドイツ・マインツ大学経済学部に留学。在学中に世界50カ国以上を旅行する。帰国後の80年、新宿にて旅行会社(現:(株)エイチ・アイ・エス)を開業。95年3月店頭公開。96年、オーストラリアに「The Watermark Hotel Gold Coast」をオープン、会長に就任。また同年、スカイマークエアラインズ(株)(現:スカイマーク(株))を設立し、98年に国内航空業界への新規参入を果たす。99年、協立証券(株)の株式を取得し、エイチ・アイ・エス協立証券(株)(現:エイチ・エス証券(株))の代表取締役社長に就任。03年にはモンゴルAG銀行(現:ハーン銀行)の取締役会長に就任。04年、エイチ・エス証券(株)を大証ヘラクレスに上場させる。同年、(株)エイチ・アイ・エスは東証一部に上場。現在は澤田ホールディングス(株)の代表取締役社長、(株)エイチ・アイ・エスの取締役会長の他、経団連理事、経済同友会幹事、アジア経営者連合会理事長も務め、10年4月ハウステンボス(株)代表取締役社長に就任。
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