中国全国人民代表大会 代表 金 会慶 氏
西日本国際教育学院 理事長 宮田 道郎 氏
尖閣諸島問題など日中間の外交上のトラブルは何かと絶えない。しかし一方で、ビジネスの世界ではそうした動きとは裏腹に活発な交流がなされている。今後、国民レベルで日本と中国はどのように付き合っていけば良いのか。今回、中国で全国人民代表大会代表を務める金会慶氏と西日本最大の日本語学校を展開する西日本国際教育学院理事長の宮田道郎氏に対談していただき、安徽(あんき)省を中心とした将来の日中関係のあり方について議論していただいた。
<歴史的チャンス到来>
―先日、元ヤオハン代表の和田一夫さんに、安徽省の省都・合肥で中日企業家交流協会主催のシンポジウムを開催する計画があるとお聞きしました。その展望などをお聞かせ下さい。
金 私の出身は上海ですが、安徽省には1970年代頭頃から関わり出して、40年近く活動しています。省都である合肥は南京から車で1時間のところにあり、上海までなら飛行機で45分、新幹線は現在3時間ですが、これから2時間で行けるようになる予定で、たいへんアクセスの良い場所です。安徽省はもともとは農業が中心でしたが、都市化するにつれて人口は6,700万人を超え、文化は中国でも超一流です。胡錦濤国家主席や呉邦国全国人民代表大会常務委員長、李克強国務院副首相など有能な人材を多く輩出している省でもあります。
この地域の経済力はまだまだですが、発展するには今がチャンスです。中国はこれまで沿海部での開発を推し進めてきましたが、これからは内陸部の改革を推進していくでしょう。中国国内においても地方の時代に移っています。なかでも、ここ数年13~14%という高い成長率で推移している安徽省が、最も注目されているのではないかと考えています。
中国政府は内陸の地方都市を発展させたいと考えているし、マーケットも大きいので、日本の企業にとっても歴史的チャンスが来たと言えるでしょう。
宮田 私が運営する西日本国際教育学院も、中国の東北地方に事務所を開設して学生を募集しておりますが、最近は安徽省からの学生も少しずつ増えてきており、安徽省はこれからの地域だと非常に注目している地域のひとつです。ですから、今日は金先生にお話がうかがえるということで大変楽しみにしておりましたので、よろしくお願いします。
さて、私は学校を設立して20年になりますが、今までに3,000名以上を卒業させ、開校以来1人残さず大学、大学院、専門学校に進学させました。さらに環境面では施設や寮に力を入れ、校舎は8階建てで1,000名の学生が収容できます。また、学生寮は214名が収容可能で、冷蔵庫、キッチン、バス、トイレ、ベッド、エアコンなどをすべての部屋に完備しており、日本語教育振興協会から日本語学校のモデルにしたい旨の打診がありました。普通の日本語学校は、安価なアパートを借り上げるだけのパターンが多いのですが、私たちは外国人留学生の面倒を見る体制を整え、留学生たちの快適なくらしを提案しています。
また、ビザの申請許可については、いろいろな審査があって大変なのですが、私どもは高許可率を維持し、毎年多くの学生を受け入れています。中国人の学生は頭が良い人が多く、しっかりと頑張っている人が多いですね。私たちは日本語を教えるだけではなくて、日本のルールやマナーを徹底する教育をしています。生活指導担当の先生だけで12人おり、かなり厳しいと評判ですが、そういう教育をすることが彼らをいち早く日本社会に溶け込ませる方法ですし、彼らのためになると思っています。
学生たちはほぼ全員がアルバイトを頑張っていますが、そのために我々は、彼らがアルバイトできる企業を斡旋できる体制も整えております。来年1月には、アルバイト先の企業を約100社以上集めて、雇用主とのコミュニケーションを深め、学校、学生をより理解してもらおうと懇親会を計画しています。
【文・構成:杉本 尚大】
*記事へのご意見はこちら