三益製薬（株）　代表取締役　大森　清美

＜健康食品ビジネスで感じる行政の問題＞

　弊社では天然薬物、健康食品の研究開発とOEM、卸売を中心に販売を行なっております。私自身は研究者ではありませんが、役員が研究者であり、国際研究機関のネットワークを持っています。2010年10月12日には、中国遼寧省と九州大学、そして弊社で共同研究を行なう「国際天然物機能開発研究会」の設立に参加いたしました。
　会社経営に携わるまでは、行政に対して少なからず問題意識は持っていましたが、生活していくうえではそんなに不便はないかなと思っている程度でした。しかしながら、現在の会社を経営していると、さまざまな問題を感じることが少なからずあります。ひとつは健康食品の表示に関することです。困ったことに、担当職員によって可否の判断が変わるほど、あいまいな部分が多いのです。たとえば、「効果・効能を連想させる商品名」は禁じられていますが、その「連想させる」というところの判断基準は、人に拠るところが大きいのです。
　規制自体も大雑把なところがあります。たとえば、実際に取得している特許番号を一般消費者が目にするところに表示するのは不可。でも内部資料なら可など。文言を使って悪質な販売をする業者を規制するために厳しくなったと言えますが、ただ禁止すればよいというものではありません。複数の商品を扱う大手なら、ひとつの商品が販売禁止になっても他の商品でカバーできます。しかし、中小の場合、ひとつがダメになっただけで死活問題です。
　また、現場の対応にも改善すべきと思う点があります。不明な部分を県庁などに確認すると、たらい回しになります。問い合わせするより、電話で待っている時間のほうが長いことも多いです。同じことを尋ねても、その時の相手によって対応が変わることもあります。また地域により規制内容が異なることもあります。

＜リーダーに必要なのは「ぶれないこと」＞

　これらの問題の本質は、やはり行政側の民間企業、特に中小企業に対する理解が不足している、または担当の一部分に関してはエキスパートであるがその他の問題に関しては無関係であるとの意識が強いせいだと思います。それを改善するためには、たとえば、地方公務員の研修先を東京ではなく、地元の中小企業へ研修に行かせてみるのはどうでしょう。１カ月とか３カ月でもいい、社会を担う中小企業の実態や状況はどうなのかということを実際に働いて理解してもらうべきだと思います。
　もちろん、公務員のなかにも志を持たれている方はたくさんいます。しかし、行政というトップダウン（上意下達）の縦割り組織にいると、だんだんと眠ってしまうのかもしれません。そうした彼らの志を眠らせないためには、優れたリーダーの存在が必要不可欠です。「この人についていきたい、いっしょに何かをやり遂げたい」と感じさせるような人が上に立てば、行政組織も生まれ変わるのではないでしょうか。
　これからのリーダーには、第一に「ぶれないこと」が求められると思います。そのためには信念を持っていなければなりません。コロコロと意見が変わるような人にはやはりついていけません。一度決めたらやり遂げる。たしかに間違っている場合は、途中で修正することも必要ではありますが、大筋はぶれずに実現のための努力をする。そうした姿勢が無ければ、人を動かすことはできないと思います。

＜プロフィール＞
大森　清美（おおもり　きよみ）
1965年11月１日、福岡県生まれ。医療現場を経験し、2004年、三益製薬株式会社入社、その年事業継承を受ける。趣味はスポーツ、登山。

＜会社概要＞
三益製薬（株）
代表者：大森　清美
所在地：福岡市博多区博多駅南2-1-5　博多サンシティビル6階
設　立：2004年
資本金：1,000万円
ＴＥＬ：092-411-8066
ＵＲＬ：http://www.san-eki.co.jp/

※本稿は以下の書籍に掲載されています。

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