金融庁は、平成22年12月14日、中小企業金融円滑化法の期限の延長等について公表したがその骨子は次のとおり。
1.これまでの取組み
○平成20年秋以降、いわゆる『リーマン・ショック』により我が国経済や中小企業者の業況・資金繰りは大幅に悪化した。
○かかる状況の下で、金融庁は昨年12月、中小企業金融円滑化法を施行し、検査マニュアル・監督指針の改定や金融円滑化に係る検査・ヒアリングなどの様々な取組みを推進してきたのである。
○法施行日から平成22年9月末までの実績は次のとおりである。
・福岡財務支局管内及び九州7県合計分実績でみても、地域銀行、信用金庫、信用組合合計で条件変更の実行率は84~85%となっている。
2.円滑化法施行によるその効果
○このところの中小零細企業の倒産件数は。横這い乃至減少傾向にあると言われているが、借入過多の中小企業にとって、借入金の返済負担は大きく返済猶予を受けた場合の資金繰りに対する影響は大きいものがあり、一定の効果があったものと見られる。
3.今後の対応
(1)基本的な考え方
中小企業の景況感は、依然として足踏み状態が続いており、中小企業者等の業況や資金繰りは総じて芳しくない。かかる状況の中、先行きの不透明感は厳しく今後も返済、金利条件等の条件変更に対するニーズは高まるものと思われる。
(2)具体的な対応
<中小企業金融円滑化法の期限の1年延長>
法の期限を平成24年3月末まで1年間延長する。
4.延長に際し金融機関、中小零細企業の双方に求められること
○円滑化法により、元金返済猶予を受けた場合、返済猶予期間中に事業再生を確実なものにしなければならないが、ややもすると元金返済猶予を受けたことにより、事業再生に対して注力を失う経営者が多いと聞く。
一方、金融機関としても事業再生に対する指導を強化し再生への助言を強化していく必要があろう。
*記事へのご意見はこちら