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経済小説

天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (23)
経済小説
2011年1月 1日 10:00

<ホテル竣工資金の手当て>

支払額は数億円であった。ところが、このホテルを施工したゼネコンは... 大分ホテルは3月末日に竣工し、4月20日の工事代金の支払が迫ってきた。
 支払額は数億円であった。ところが、このホテルを施工したゼネコンは、当社がホテルの開発資金を借りたのと同じ銀行から工事資金を借りていた。このため、当社が工事代金の支払を繰り延べた場合、そのゼネコンも、銀行への建築資金の返済を繰り延べることになる。このため、今後同銀行との折衝を円滑にするためにも、ひとまず工事代金は、建物取得費用の融資が降りなくとも手元資金から支払うこととした。
 その上で、6月20日までに工事代金の融資を得られれば資金繰りの見通しがつくことになる。DKホールディングスは毎月20日が給料日かつ取引先などへの支払日であったからだ。

 最初の銀行との折衝は3月下旬の電話会議の後、速やかに決済遅延のお詫びと報告というかたちで行った。大変重苦しい報告であった。当然のことながら、銀行からは、なぜ早くご報告いただけないのですか、というお叱りを受ける。これに対しては、ギリギリまで3月中の決済を諦めずに取り組んだ結果であるため仕方がなかった旨説明し、陳謝した。
 また
「しっかりした売買契約が締結されていることを前提に貸しているのに、なぜそれを安易に合意解除するのですか」
 さらに
「売買契約への違反があったのにも係わらず違約金の請求などをされないのですか」
 と厳しく指摘された。しかし、買い手側に、実際問題として決済能力がなかったこと。営業用の什器・備品を握られており、これを宙に浮かせるわけにはいかなかったこと。そして、大分の中心・県庁の前にあるホテルを営業しないまま廃墟にしてしまっては、風評が悪化し売却にも影響が避けられず、地域に対する社会的責任の観点からも営業開始を最優先した旨説明した。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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