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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (24)
経済小説
2011年1月 2日 10:00

 その後、数次に渡る詳細資料の提出と質疑応答の結果、銀行の担当者からアポイントが入った。 来社した銀行担当者は言った。
「何とか、ご要望の建築資金の本店稟議が下りました。ただし、いろいろ条件があります。まず抵当権は本登記、金利の変更、さらに期間延長は3カ月が限度です」

 この事態は、DKホールディングスも不動産不況にいやおうなく巻き込まれていることを物語っていた。そして銀行としても、今後明らかに不動産が売れなくなるであろう、という判断をしていたが、建物代金の追加融資を行なわなければDKホールディングスの資金繰りが続かない。そういうなかで、いかに当初の約定に入っている内容とはいっても、この時期に販売先のない不動産に対して数億円を追加で融資する稟議を通すことは、地方銀行の支店にとっては至難の業であったはずである。そういうなかで、この追加稟議を通してくれた銀行の担当者に深く感謝した。

<「オーナー担当」珍問答>

私は、この増員希望の主旨を理解することができなかった... 4月のある日、稲庭部長からメールが来た。その内容は、既存物件のオーナーに対する提案型営業を強化するために、オーナー担当の社員を2名増員したいというものであった。物件オーナーに対する営業活動は不動産管理事業の範疇に含まれるものであったが、この時点では昨年来のサブリースの契約更改プロジェクト以来、マネジメント部長の執行力を確保するためにオーナー担当は営業部に配置されていた。

 私は、この増員希望の主旨を理解することができなかった。
 もし、オーナー担当の業務が、当社既存管理物件の収益性の改善ということであり、その強化のための増員ということであれば、それはまさしくマネジメント部の業務ということなので、その増員は、営業部の配置といえども、不動産管理事業の利益計画に吸収できる範囲でないといけない。しかし、そのような検討がなされた形跡はなかった。

 逆に、オーナー担当の業務が、既存顧客の物件販売・売却希望の情報収集を中心とした顧客フォローということであれば、その経費は営業部負担ということが妥当と考えられたが、そうであれば、それは、オーナー担当などという曖昧なものではなく、売買仲介営業マンとして位置づけていかなければならない。しかし、話を聞いていると、どうも積極的に売買仲介を展開して仲介手数料を稼ごうという意気込みが感じられないのである。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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