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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (25)
経済小説
2011年1月 3日 10:00

 そこで私は、これまでマネジメント部が、忙しいからといって戦略のない人員増を繰り返してきた結果、昨年度はサブリース契約更改に大変な労力を投入せざるを得なくなったことを説明し、本来なら契約更改が峠を越えたので、オーナー担当は減員するべきであり、どうしてもというなら不動産管理事業の中期的な利益計画(牧田取締役が取りまとめ中だった。)の人員計画のなかに吸収するのが条件である旨回答した。

この件について打ち合わせをしたいと申し出てきた... すると約2週間後、営業責任者の江口常務、福岡営業部の稲庭部長、マネジメントの牧田部長と、私とでこの件について打ち合わせをしたいと申し出てきた。私は上記の立場を変更するつもりはなかったが、江口常務が同席されるとのことなので、打ち合わせを受けた。稲庭部長は、先のメールと同様の内容を懇々と説いた。

「オーナーの顧客満足度を高めるためには、日常的な営繕見積の提示や家賃交渉といったことだけでなく、アセットマネジャーとして物件の価値を上げていく仕事をしたいのです。そのためには、どうしてもオーナー担当2名の増員を認めていただきたいのです」
 と稲庭部長。
「会社の営業責任者として不動産管理事業の黒字化を果たさなければならないお立場として、稲庭部長の要望を認めるおつもりですか」
 と私は江口常務に問うた。
「私の知っている札幌のある管理会社も、ずっとサブリースを行なっていて、これまで賃料改定はしていないとの話なんですよ。その会社でも、社員がオーナーの元に巡回しているそうです。顧客満足は大切です」
 と江口常務。

「ぼくもそれは否定しません。でも、その管理会社の話は検証されてないでしょう。もし札幌の会社のサブリースの話が事実であって、その秘密がオーナー担当営業なのであれば、そこで利益を出して営業社員を雇えばいいです。でも、本当にそうでしょうか。サブリースの収益の改善もまだ見えていないのに、DKホールディングスの営業の責任者としてマネジメント部の収益にも責任をもたれている立場として、2名の増員は受け入れられるのですか、と伺っているのです。その分稼ぐというならともかく、収益を生まない人員を2名も増やすということなのですよ」
 と私。

 稲庭部長も割って入ってきた。
「江口常務や私も懇意のオーナーを回っていますけど、それ以外の多くのオーナーも巡回しないといけないと思うんですよ」
「牧田部長はどう思う」
 と私。
「この話は、片や収益、片や顧客満足度と観点が違う議論をしているので、どこまでも平行線で交わらないですよね」
 と牧田部長。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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