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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (30)
経済小説
2011年1月 8日 08:00

<鍵を握った福岡都心物件>

 この都銀との折衝を受けて、私は全ての工事を停止しなければ大変なことになると判断するに至った。
 営業からは相変わらず売ります、売れます、という景気のよい話しかあがってこない。しかし、当社に対して銀行がこれだけ厳しいということは、他の不動産会社やファンドに対しても同じように厳しいはずである。そのような状況で、簡単に売れるはずがない。

私は全ての工事を停止しなければ大変なことになると判断するに至った... このため私は、2点の施策を会長及び社長の了承のもと実行した。
 第一に、小ぶりな個人向け物件を除き、工事は全て中断すること。10億円以上の物件はファンドにしか手が出せないが、そのファンドに対してまったく銀行融資が出なくなっている。従って、当面物件売却は難航せざるを得ない。そのような中では極力支出を抑えて手元資金を大事にしていかなければならない。しかし、工事を進めてしまうとどうしても着工時、上棟時の代金支払が発生してしまう。それでは手元資金がどんどん減ってしまうので、今継続している工事もストップさせた。

 第二に、社内の報告体制の問題である。DKホールディングスは、開発会社である。開発プロジェクトは最短でも1年前後の期間での仕事であるため、あまり短いマネジメントサイクルは事業に馴染まない。そのため、マネジメントサイクルは月次方式であった。しかし、平常時はそれでよいが、この非常時にのんびりと1カ月サイクルで仕事をしていては、何かがあったときの対処が遅れる。それに、銀行に対しても、平時はその銀行から融資を受けている物件について何かあったら報告するようにはしていたが、他行物件を含めた全社の資金繰りなどは開示する必要はなかった。しかし、今は、各銀行とも全社の資金繰り状況及び販売状況の報告を求めてくる。そこで、私は、マネジメントサイクルを週間方式に変更し、販売推進会議を毎週水曜日の午前中を使って開催し、そのなかで、前週から何も進捗がない案件については少し厳しく状況を問い詰めるようにした。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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