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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (31)
経済小説
2011年1月 9日 08:00

ごく一部のキャッシュリッチな企業だけで... これに加え、販売体制の強化を営業本部長である江口常務に次のように申し入れた。
 まず、物件の買い手はこれまでとまったく変わってきている。これまでのようなファンドには買う余力がない。今買えるのは、財閥系や大手企業系等のごく一部のキャッシュリッチな企業だけである。したがって、これからは懇意のファンド会社に営業にいくのはやめて、本当に買える企業にアプローチしてほしい。そして、当社が所有している規模の不動産であれば買い手は必然的に中央になる。そして、今キャッシュリッチな会社には当社と同じような立場の会社から不動産情報が山のように持ち込まれているはずなので、本社の営業社員を東京に異動して買い手への訪問を強化し、キャッシュリッチ企業に優先的な検討をお願いしてほしい。さらに、親密なオーナーなどで物件の引取を頼めるところがあれば、それを、これまでは最後の手段だったが、今は非常時なので、今すぐにやってほしい、という点である。

 江口常務は、これらの申し入れに対して、当初は耳を貸さなかった。しかし、その後の7月になって社員を長期出張させ、現地で販売活動に当たらせた。
 また、5月には、当社が保有していた最大の不動産、福岡市中央区の国体通り沿いの約30億円の土地について、公共企業系の不動産会社からの購入申込が舞い込んだ。これは、やはりこのような企業でないと、今の市況では不動産など買えないと、納得させられるような買い手であった。4月に入って以来、物件の売却がなく資金を支出する一方であったが、ようやく大型土地を売却して資金を上積みできるチャンスが巡ってきたのである。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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