日本主導で前向きな取り組みを
福岡県第1区で衆議員議員を7期務め、2010年9月17日、菅改造内閣において環境大臣兼内閣府特命担当大臣(防災担当)に就任し、初入閣を果たした松本龍氏。就任直後から、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)や国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)、さらには水俣病などの問題に取り組んできた。そんな松本氏に、環境大臣としての2010年の総括と今年の展望について話を聞いた。
<環境ビジネスと国内経済の活性化>
―昨年9月に環境大臣に就任され、そして今年1月の改造内閣でも環境大臣に留任されました。この間を振り返っていかがですか。
松本 就任直後の3カ月間はCOP10とCOP16に向け、ニューヨーク、名古屋、そしてメキシコと、会議の下準備を行なっていました。20年間、政治家をやってきた蓄積というものは大きいですね。環境大臣になるまで、さまざまな経験を積ませていただいたことが、国際交渉の場でも活きていると感じています。
福岡の支持者の方々からも厳しいご意見を頂戴しましたが、支持者の皆さまに恥をかかせないよう、期待に十分応えていきたいというのが今のモチベーションとなっています。
―地球の環境を守るという世界規模での課題がある一方で、国内問題としては「環境ビジネス」を振興して国内経済を活性化しなければならない、という課題もありますね。
松本 昔は、経済成長の負の側面として環境汚染が社会問題となり、環境と経済は相反する関係にありました。しかし、今や省エネ家電やエコカーなど、生活者の身近な分野においても環境がビジネスとして成立しております。腰を引かず、前向きに環境問題を捉え、先取りしていかないといけません。日本には資源がありませんから。
―環境ビジネス、つまり産業振興となると、他省との調整も必要になるのでしょうか。
松本 もちろん、経済産業省、農水省など、分野によっては関係してきます。
CO2を削減するのにコスト負担が大きいという声もありますが、コストではなく将来への投資と考えていけば、ビジネスチャンスが生まれるのではないでしょうか。技術革新を促し、雇用も創出できます。
アメリカでも「グリーン・ニューディール」を掲げていますし、韓国も環境ビジネスを戦略的に進めています。EUもそうです。先進国は皆、そこにシフトしています。日本は、ちょっとスピードが遅いように思います。
―環境ビジネスによって国内経済を活性化させるポイントは、どのあたりにあるのでしょうか。
松本 中国をはじめ、アジア地域の大気汚染は深刻な問題です。日本は高度成長期に公害問題に直面し、それを克服してきたエコ対策のトップリーダーでもあるわけですから、そうした経験と技術を海外に提供し、国際市場でのビジネスチャンスにつなげていくことも重要でしょう。
【文・構成:吉村 敏】
<プロフィール>
松本 龍(まつもと りゅう)
1951年福岡市生まれ。馬出小学校、福岡中学校、福岡高校から中央大学へすすみ、政治学を専攻。80年、参議院議員・松本英一の秘書として政治の現場へ。90年、衆議院選挙に初当選。96年、国会等移転に関する特別委員会委員長。97年、商工委員会理事。2000年、環境委員会委員長。09年、衆議院七期に当選。10年、環境大臣、内閣府・防災担当大臣に就任。
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