目指すは「観光ビジネス都市」、ハウステンボスを変える経営者魂
<机ふたつ、電話1本から始めたHIS 世界一の旅行会社に>
―澤田さんご自身が創業されたHISですが、今後はどのような展開をされるのでしょうか。
澤田 30年前にヨーロッパから帰国した後に机ふたつ、電話1本から始めたHISは、現在では日本における海外旅行の取扱高が1番になりました。国内はJTBが1番ですが、我々はこのハウステンボスもありますから、国内をどんどん伸ばしていこうとしています。ハウステンボスを本当に喜ばれる、そして採算のとれるものにしていきたいですね。
実はもうすでに、HISを世界一の旅行会社にする作戦が始まっています。現在、海外拠点は85都市109拠点ありますが、それを500、1,000と増やして、中国でもタイでもどこでも、その国で1番のエージェントになろうという戦略です。本当はそちらの方が忙しいのですが、たまたま若くて良い社長、幹部がいますから、彼らが世界戦略を進めています。
―海外に打って出るなかで、日本人として文化の違いなどで苦労されたこともあるかと思います。これからさらなる飛躍を目指すなかで、会社として、また個人として何か変えないといけない部分があると感じられたことはありますか。
澤田 何も変えなくて良いと思います。日本はきちんとした文化がありますから。ただ、その国々によって物の考え方やルールは違ったりしますから、その国に合った方法をとらないと、ただ日本のやり方を押し付けてもダメです。日本で正しいことも、現地では正しくないことはいくらでもあります。
だから我々としては今、組織はどんどん現地化を進めています。たとえば、トルコの支店長はトルコ人です。我々がトルコから連れてきて3~4年間教育して、日本の良い文化を伝えてきちんとマネジメントしていますから、トルコはどんどん大きくなっています。ということで、その国に合った旅行会社にするようにしています。ただ、ポリシーや物の考え方、人をだまさないといった基本的な原理原則は同じです。
<プロフィール>
澤田 秀雄(さわだ ひでお)
1951年、大阪府生まれ。73年に旧西ドイツ・マインツ大学経済学部に留学。在学中に世界50カ国以上を旅行する。帰国後の80年、新宿にて旅行会社(現:(株)エイチ・アイ・エス)を開業。95年3月店頭公開。96年、オーストラリアに「The Watermark Hotel Gold Coast」をオープン、会長に就任。また同年、スカイマークエアラインズ(株)(現:スカイマーク(株))を設立し、98年に国内航空業界への新規参入を果たす。99年、協立証券(株)の株式を取得し、エイチ・アイ・エス協立証券(株)(現:エイチ・エス証券(株))の代表取締役社長に就任。03年にはモンゴルAG銀行(現:ハーン銀行)の取締役会長に就任。04年、エイチ・エス証券(株)を大証ヘラクレスに上場させる。同年、(株)エイチ・アイ・エスは東証一部に上場。現在は澤田ホールディングス(株)の代表取締役社長、(株)エイチ・アイ・エスの取締役会長の他、経団連理事、経済同友会幹事、アジア経営者連合会理事長も務め、10年4月ハウステンボス(株)代表取締役社長に就任。
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