目指すは「観光ビジネス都市」 ハウステンボスを変える経営者魂
<オランダにとらわれることはない>
―もともとハウステンボスは、神近義邦さんという人がオランダをコンセプトにつくった滞在型リゾートのテーマパークです。
澤田 オランダね、当時ならそのコンセプトで良かったと思います。なぜなら普通の人は海外に、ましてやオランダになんか行けなかったから、もどきで我慢する。当時はほかにもロシア村、スペイン村などができましたが、振り返ってみるとすべて失敗しています。これはHISのせいかもしれませんが、安い価格で海外に行けるようになったからです。当時はヨーロッパまで70万円だったのが、10万円や20万円で行けるようになりました。そうなると、ハウステンボスに行くのもオランダに行くのも、それほど変わりません。となれば、誰でも本物のオランダを見に行くでしょう。
私に言わせれば、オランダよりもハウステンボスの方がきれいだし、省エネなのですが、やはり元祖は超えられませんよね。だから、ロシア村、オランダ村、スペイン村などはもう時代が違うと思います。原型はヨーロッパ、オランダでも良いのですが、本気でやるなら「東洋一美しい未来都市を生みだす」といった、まったく新しいコンセプトを打ち出す必要があります。オランダ、チューリップだけで人が集まるなら誰も苦労しない。それでは1回来ても、2回、3回はお客さまも来ません。元祖オランダも常に変化、進化しているのですから。ただ東洋一の未来都市というのは、もちろんヨーロッパ、オランダの良いところを取り入れた発想でいかなければ長続きしません。
以上から、オランダにとらわれることはないと思うよ、というのが私の発想です。オランダだったら、HISを使って本物を見に行ってください(笑)。私はここを東洋一の美しい街、東洋一の楽しい街、東洋一の健康になる街、そういう新しい未来都市をつくりたいと思います。
【児玉崇・大根田康介】
<プロフィール>
澤田 秀雄(さわだ ひでお)
1951年、大阪府生まれ。73年に旧西ドイツ・マインツ大学経済学部に留学。在学中に世界50カ国以上を旅行する。帰国後の80年、新宿にて旅行会社(現:(株)エイチ・アイ・エス)を開業。95年3月店頭公開。96年、オーストラリアに「The Watermark Hotel Gold Coast」をオープン、会長に就任。また同年、スカイマークエアラインズ(株)(現:スカイマーク(株))を設立し、98年に国内航空業界への新規参入を果たす。99年、協立証券(株)の株式を取得し、エイチ・アイ・エス協立証券(株)(現:エイチ・エス証券(株))の代表取締役社長に就任。03年にはモンゴルAG銀行(現:ハーン銀行)の取締役会長に就任。04年、エイチ・エス証券(株)を大証ヘラクレスに上場させる。同年、(株)エイチ・アイ・エスは東証一部に上場。現在は澤田ホールディングス(株)の代表取締役社長、(株)エイチ・アイ・エスの取締役会長の他、経団連理事、経済同友会幹事、アジア経営者連合会理事長も務め、10年4月ハウステンボス(株)代表取締役社長に就任。
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