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【連載特集】JAL倒産から1年(2)~左翼系労組の延命
特別取材
2011年1月25日 07:00

 これをJAL側は「弁護士の方々と相談の上、整理解雇の4要件は満たしている」(大西賢社長)と解雇に踏み切った。日本の大企業でこれだけ多くの整理解雇が行なわれるのは珍しい。JALに3,500億円を出資する企業再生支援委員会の瀬戸英雄委員長(弁護士)も、「9,500億円もの債務超過状態で通常は破産処理が適当な事例です。それを日本政策投資銀行と企業再生支援機構の出資と融資で資金を提供し、3万6,000人もの雇用を確保した点を評価して欲しい」と語っている。

JAL 倒産したJALは、東京地裁のお墨付きを得て更生計画を進めており、企業法務の第一人者の弁護士たちが多数かかわっている。労働組合側がいくら「不当解雇撤回」を求めて裁判所で争っても、勝ち目は乏しいように見える。

 それでも敢えて裁判闘争に持ち込んだのは、今回の整理解雇は左翼系労組の執行部メンバーが狙い打ちされたからだ。整理解雇は年齢の高い人から順に対象となっており、かつての闘士だった中高年世代に解雇が突きつけられた。
 
 JALには主流派のJAL労働組合(JALFIO)とは別に、機長組合や乗員組合、キャビンクルーユニオンなど5つの非主流派労組がある。主流派の、旧同盟系のJALFIOが会社側ベッタリで、社内の不満分子を監視する体制を構築したことから、特段、左翼を信奉していない一般社員さえ、共産党色の濃い非主流派の5つの労組に追いやった。権利意識の強い労組の傘下に入れば、出世はしなくても安全という意識も働いただろう。

 今回解雇されたパイロットの1人もそうである。彼は、もともとは航空機関士だった。「職種転換でパイロットになったのですが、若い人たちにどんどん追い越されて」、50代半ばなのにいまでも副操縦士で機長になれない。機長になれれば他の航空会社に転職することは可能だが、さすがに50代半ばで副操縦士止まりだと厳しい。こんな彼のような存在をJALの経営側は「乗員組合にすがりついて生きている」(元執行役員)と冷ややかに見る。

 整理解雇されて原告となったスチュワーデス72人のうち70人までがキャビンクルーユニオンの組合員で、JALFIOの組合員はたった2人しかいない。この2人の組合員も、キャビンクルーユニオンの内田妙子委員長によると、JALFIOが「あなた方は解雇されたので、もう組合員ではないので支援できない」と相談に乗ってもらえず、それで2人ともキャビンクルーユニオンに加盟して裁判を闘うことになった、という。

 会社側の差別的な労務政策に加えて、主流派労組があまりに情けないので、非主流派労組が駆け込み寺になる。かくして古色蒼然とした左翼系労組は延命し、JALの55年体制は今日も続いているのである。

(つづく)

【特別取材班】

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