<「やりがいのある仕事」とは>
いくつかの大学の就職課への取材を通して、「出遅れているな」と感じる学校もあった。「今から就職内定率を出します」という学校さえあった。これだけ、大学生の就職内定率の悪化が叫ばれているのにも関わらず。
就職活動時期が早まっていることで、学生に負担がかかっているとの声もあった。筆者も必要なゼミの授業だけは参加して、3年生後期から4年生まで、ほとんど学校には通わなかった。4年生にいたっては、ほとんどの学生が週に1~2回しか学校に行っていないだろう。大学生活の4年間、もう少しゆっくり腰を据えて勉強させる余裕が、学校にも企業にも必要なのではないだろうか。
また、3年まで留学していて、日本に帰って来たら周りの学生たちに遅れをとってしまったという学生もいた。就職内定は、基本的に1人で勝ち取っていかなければならないが、日本だけではなく海外に目を向けて勉強している学生の就職をフォローする施策は必要ではないだろうか。これでは、日本の留学生が減っている現状のなか、自らの手で自らの首を絞めてしまっている。
一方で、「自分がやりがいを感じる仕事に就こう」など、就職斡旋会社がよく言っているが、働いたこともない学生に「やりがいのある仕事」と言って、何が分かるのだろうか。「やりがい」の前に、何のために仕事をするのか、その仕事を通して自分はどうなりたいのか、まずはそのことから考えさせることが必要だ。変化する就職状況に、国や大学が対応しきれていない状況なのだろう。
大学を卒業しても、その先何十年も仕事をしていかなければならない。その第1歩でつまずいてしまうようなことにならないよう、1歩目で頑張り、次に2歩、3歩と続いていけるような教え、自問自答をさせる環境づくりが必要である。
【長嶋 絵美】
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