1月14日、唐津ゴルフ倶楽部(佐賀県唐津市)が佐賀地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は預託金を中心に約56億3,400万円。
同社は、1937年7月に九州で5番目にオープンしたゴルフ場を前身としており、唐津地区の有力企業である昭和自動車㈱のグループ企業である。名門ゴルフ場として知名度は有していたものの、近年は不況の長期化やゴルフ場の競争激化などにより苦戦を強いられ、赤字経営を余儀なくされていた。またゴルフ会員権の償還問題を抱えており、法的手続きに踏み切った。
唐津ゴルフ倶楽部は、唐津地区の名門、昭和グループの1社。同グループは関連会社34社、従業員約6,500名を擁し、グループ全体の売上高が1,800億円を誇る。唐津ゴルフ倶楽部社長の金子晴信氏は、昭和グループの中核企業である昭和自動車㈱の社長でもある。
昭和グループは、昭和自動車のほかに福岡トヨタ自動車㈱、トヨタカローラ福岡㈱、ネッツトヨタ福岡㈱、壱岐交通㈱、昭和タクシー㈱、唐津シーサイドホテル㈱など物流、交通機関を主力とした企業グループであり、福岡及び佐賀地区で高い知名度を誇っている。現在、グループの代表は福岡トヨタ自動車社長の金子直幹氏で、同氏はグループ前代表の金子宜嗣氏の長男。晴信氏は宜嗣氏の実弟。主に福岡地区の企業を直幹氏が、佐賀地区の企業を晴信氏が指揮する組織体系になっている。
全国的に見ても、ゴルフ場は預託金の問題から経営不振に陥っている企業が多く、身売りや法的申請に踏み切るケースも多い。ただし、唐津ゴルフ倶楽部は、佐賀、福岡両県にまたがり活動する一大企業グループの1社であり、一般的なゴルフ場の破たん劇とは様相を異にしている。影響力が大きい企業グループだけに、波紋を呼びそうだ。