17日、鹿児島県阿久根市で、前日に投開票が行なわれた阿久根市長選で初当選した西平良将氏が市長に就任した。選挙中、竹原信一前市長の改革の方向性については間違っていないとしたうえで、「対立ではなく対話」と、その手法を批判していた西平市長。ただし、竹原改革でも専決処分によって行なわれ、市議会の承認を得ていない案件については、「違法性が高い」とし、見直しを行なう方針だ。
しかしながら、その見直しの一部が「公約違反ではないか」という疑問の声があがっている。昨年(2010年)末、西平氏の総決起大会に合わせ、同氏の後援会がビラ(画像参照)を作成・配付。そのなかには、『西平の行革』として「職員給与の削減は、今のボーナスカットされた総支給額をベースに、さらに4年間で15%カットを目指します」(赤傍線部)と記されていた。
ところが、17日、市長就任後の記者会見で、竹原前市長が専決処分で行なった職員ボーナスの削減について、「さかのぼっての支給は考えていないが、次回からは見直す」と述べたと報じられた。マスコミによっては、「見直す」を「元に戻す」と報じたところもある。
だが、9日の告示直前というタイミングで配られたビラの内容を反故にしないのであれば、「見直す」の先は「現状維持」か「さらに削減」の2択。あるいは、ボーナスを元通りにした分を含め、月給を減らしていくという奇天烈な手法が行なわれることになりえないだろうか。繰り返しにもなるが、西平市長は公約に「4年間で15%の職員給与削減」と掲げている。
さらには、同ビラには「そこから生まれた財源を活かしてマニフェストの実現に邁進します」(青傍線部)と記されていた。つまり、職員給与の削減は、西平マニフェスト実現の根幹をなす重要な部分として認識していたことになる。
職員給与に関しては、市民のみならず、職員の一部でも「(市民所得に比して)高すぎる」との認識があり、この件に関する新市長の動向は、いっそう注目されることとなるだろう。
【山下 康太】
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