<バイオ分野の資金投資が命取り>
破綻を招いた林原健氏は、父の一郎氏の死去により、慶応大学在学中に4代目社長に就任した経緯がある。行き詰まりの原因としては「バイオ分野をはじめとした研究開発費などがかさみ債務過剰になった」とコメントしている。一例として、メセナ事業で林原自然科学博物館が進める恐竜研究がある。この研究では、モンゴル・ゴビ砂漠で同国と共同発掘調査を行なっている。ところが林原サイドでは、コンテナに砂漠の砂を詰め込んで数百個分相当量を日本に輸送し調査するなどコスト無視が罷り通っていた。
一般人から見て不思議な光景が、同社にとっては当たり前の作業だったのだ。チンパンジーの生態研究では「日本が世界に誇る研究拠点を建設する」という目的で昨年、岡山県玉野市で研究施設の建設に向けた工事が始まった。しかし、基礎工事が終わらぬうちに、工事が中止されるという波乱が起きた。本当に行き当たりばったりの行為が目立っていた。工事を請け負った竹中工務店は同社に対し、工事代金請求事件として裁判に持ち込んだ。不名誉なことなので、同社は非を認め和解した経緯もある。
関連会社のザ ハヤシバラ シティでは2002年、岡山駅南に広がる約5万平方メートルの広大な所有地に1,500億円をかけ大型百貨店、博物館、マンション、ホテルなどを整備する構想を打ち出した。岡山市もそれに便乗し、市中心街地域活性化基本計画で「コンベンション施設、ホテル、オフィスの集積を誘致する区域」と規程した。林原は当時、2009年完成予想をしていたが、現実は何ら工事を行なうことはなく、現在も月極および臨時駐車場として利用されているだけである。
*記事へのご意見はこちら