日本主導で前向きな取り組みを
<世界に環境対策を発信 アジアへも積極的に展開>
―環境ビジネスを発展させれば国は栄えるというモデルケースを構築して、世界に発信する必要がありますね。2011年の環境行政の課題、大臣の決意をお聞かせください。
松本 地球温暖化対策基本法案が昨年から継続審議となっていますので、まずは世界に日本の環境対策を発信していくという意味からも一日も早く成立するよう努力していきたいと考えております。
温暖化対策の中長期目標達成に向けた具体的なロードマップについては、国民の皆様から広くご意見をうかがい、エコ投資への支援など削減努力が報われる社会基盤の整備・検討を進めます。このなかで、「地球温暖化対策のための税」については11年度に導入する予定です。また、グリーン・イノベーションの先駆けとなってどんどん推し進めていくことがビジネスチャンスにつながりますので、エコリースの促進や水ビジネスのアジアへの展開なども積極的に支援していきたいと思っています。
さらに、産業廃棄物の対応では、インドネシアと2国間協力で対応していくことを確認しましたし、大気汚染の問題では東アジア酸性雨モニタリングネットワークというものをつくり、日本主導で取り組んでいく決意です。
―もう一方で大臣は、防災担当大臣も兼務されていますが、防災対策はどのようにお考えですか。
松本 防災対策では、激甚災害法(激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律)の指定基準の見直しを行ないました。
昨年10月に起きた鹿児島県奄美大島の豪雨災害では、指定基準の緩和で全市町村が国庫補助の対象となりました。近年は、ゲリラ豪雨などのように局地的な災害が頻発していますよね。年末年始には島根や鳥取の豪雪がありました。私も年末年始は東京にいて毎日、現地からの報告を受けておりました。気候変動の影響で、今後も予期せぬ自然災害が起こる可能性は否定できませんので、しっかりと対応していきたいと考えております。
―最後に、地元・福岡へのメッセージを一言お願いします。
松本 なかなか福岡に帰れませんが、心の中には常に福岡を思う気持ちがあります。福岡が発展するよう祈っております。
【聞き手:弊社代表 児玉 直】
【文・構成:吉村 敏】
<プロフィール>
松本 龍(まつもと りゅう)
1951年福岡市生まれ。馬出小学校、福岡中学校、福岡高校から中央大学へすすみ、政治学を専攻。80年、参議院議員・松本英一の秘書として政治の現場へ。90年、衆議院選挙に初当選。96年、国会等移転に関する特別委員会委員長。97年、商工委員会理事。2000年、環境委員会委員長。09年、衆議院七期に当選。10年、環境大臣、内閣府・防災担当大臣に就任。
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