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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (57)
経済小説
2011年2月13日 08:00

 札幌駅前の土地は、もともと公的機関の健康保険の診断センターであったが、国の民営化施策に伴い売りに出され、当社が入札で競り落とした物件であった。土地代が10数億円、建物に同じく10数億円を投じ、総額30億円台のオフィスビルとしてファンドに販売することを想定していた。
 この土地の資金は、天神南部とは別のメガバンクの融資により調達したことは先に述べたが、その融資条件は、土地を特定目的会社に転売した後、着工するという開発型証券化手法を前提としていた。そのため、当時の大型物件のなかでも早期に借換え問題が発生し、資金繰りのネックとなっていたことも先述のとおりである。
そのような融資条件なので、この土地も当然着工できていなかった... そのような融資条件なので、この土地も当然着工できていなかった。もっとも工期短縮のため掘削についてはすでに着手していた。しかし、掘削に着手した直後の5月に、当社委託先が図面を調べていたところ、構造計算のミスが発見され、工事を停止していたところであった。
 この土地は、幸いにも財閥系不動産会社と商談できた。もともと、公的機関がこの土地を競売にかけたところ、2番札を入れたのがこの財閥系会社であった。そのため、事前に土地の市場性などを評価し、関心を持っていたのである。私は、札幌土地は、何としてもこの会社に引き取ってもらうよりほかないと考えた。当社は、10数億円という価格を提示し、同社からは金額記載のない関心意向表明書を受け取り、商談を行なった。
 しかし、さすがに日本一の貸しビル会社だけあって、この会社の物件の商談の進め方は慎重そのものであった。まず、当社で構造計算のミス部分を修正するのに7月までかかった。その後、その部分を含めた構造計算の内容について詳細を開示し、彼らは、彼らなりの基準でその評価を行なった。これらの結果、この財閥系会社から9月末までに条件提示を得ることはできなかった。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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