苦境下の生コン業界に厳しい要請か?国内セメント販売4位である大手のトクヤマが、4月からの出荷分から1トンあたり1,300円の値上げを要請することを発表した。
値上げの理由として、石炭の輸入主力国であるオーストラリアの洪水被害で、石炭価格が高騰している。同社は、2011年度の石炭価格が10年度と比較して50%高の1トン120~130ドルを想定。原料高に伴う、価格転嫁を実施する模様である。この表明で、他メーカーも今後追随する公算が高い。
あるゼネコン関係者は、「受注価格が低下しているなか、セメントの値上げなど到底受け入れることはできない」とコメント。また地場生コン製造工場の代表者らは「確かにオーストラリアの洪水被害で石炭価格が跳ね上がっているのは事実。とは言え、昨今の低迷する生コン市況のなかセメントの値上げなど、絶対応じることは出来ない。1円の値上げにも対応することはない。生コン業界の反発は、強くなることは間違いない」と対抗姿勢をあらわにする。
"設備や拠点の削減を含めた経営合理化を進めているが、それだけでは燃料高を吸収することは困難である"というセメントメーカー側の主張。需要側である生コン製造の市況低迷である現実を鑑みた値上げへの反発。毎年この時期に発生する、セメント価格を巡る攻防。第1ラウンドがスタートした。過去、セメントメーカー側は値上げに応じない場合は、出荷停止の姿勢を見せるなどして強気の姿勢で挑んだ時期もある。セメント需給双方とも譲れない姿勢の今回同社の価格値上げ発表。今後の市況動向に注目していく。
【河原 清明】
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