4月の福岡県知事選挙をめぐり自民党は16日、執行部会を開き、対応を武田良太県連会長に一任した。
自民党県連は今月5日、知事選候補選考委員会で同党県議団会長・蔵内勇夫氏(57)の擁立を決めていた。しかし、経済界や連合福岡の一部、創価学会などが中心となって元内閣広報官・小川洋氏(61)支援の流れが加速。それぞれの支持組織に従い、公明、民主の両県連が小川氏「支持」の方針を打ち出した。小川洋氏を後継に据え「院政」を狙う麻生渡知事や麻生太郎元首相のゴリ押しが功を奏した形だが、こうした事態を受け、蔵内氏擁立を決めたはずの自民党県連が浮き足立ってしまった。
県連幹部の一部は、大手メディアを使って蔵内氏知事選撤退の流れを作ろうとしたが、当の蔵内氏は「拳を下ろしたつもりはない」として出馬辞退を完全否定。武田県連会長らに、選考委の決定を覆すに足る理由の提示を迫ったとされる。
20日の総務会を前に、知事選対応への目処をつけたい武田県連会長としては、蔵内氏に出馬辞退を懇願するものと見られるが、どのような理由をつけようと「外圧」に負けたことは否定できなくなる。国会での自民党は、迷走する菅・民主党内閣を追い込んでおり、解散総選挙の可能性も高まりつつある。そうしたなか、重要な首長選挙において、決定事項をねじ曲げ、事実上民主党に相乗りするようでは覚悟の程が疑われる。政党としての矜持を守れるか否か、きょうの武田‐蔵内会談の結果が注目される。
余談ながら、「矜持」という言葉をメジャーにしたのは、首相時代、高額所得者に対する定額給付金の扱いについて問われ、高額所得者が給付金をもらうことを「さもしい」としたうえで、「そこは人間の矜持の問題」とまで言い切り、さらには消費増税について「責任ある政府・与党の原点、矜持だ」と述べた麻生太郎氏だったはず。県連の決定事項に従わず、子飼いの小川氏擁立にこだわった麻生太郎氏の動きは、自民党福岡県連の「矜持」を喪失せしめたようだ。
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