結論を先に述べるならば、『こども病院移転計画調査委員会』の検証結果次第で、現職市議に対する"魔女狩り"が行なわれる可能性が高い。千葉県の松戸市と同じく3月末に病院移転計画の検証が終わる福岡市だが、その直後に控えているのは4月10日投票の福岡市議会議員選挙だ。
アイランドシティへの移転が白紙となった場合、否応なく高島市長の人気は高まり、その手柄を"錦の御旗"として、市長選で支持・応援した自民党市議たちの応援にまわってもおかしくはない。一方で、自民党市議団では、ベテラン市議たちの世代交代が行なわれようとしている。前編で述べた通り、松戸市で民主党の現職が全滅し、新人2名が生き残った背景には市立病院移転計画の是非を問う住民投票条例案の否決(関連記事1参照)がある。現職市議の選挙には、1期4年の政治活動に対する審判という要素が含まれる。
福岡市でも、「市立こども病院を人工島に移転する是非を市民に問うための住民投票条例案」が賛成多数で否決された。その際、「公約違反」との非難にさらされていた吉田宏前市長を擁護する民主党市議の演説(関連記事2参照)は、いまだに移転反対派の市民に禍根を残している。
そのことを今回の市議選で問題視する新人候補予定者も少なくはない。早良区から市議選への立候補を予定している塾講師・飯野健二氏は、昨年(2010年)11月に行なわれた福岡市長選立候補時から一貫して、『否決の事実』を弾劾し続けている。「民意が力でねじふせられた。これは市民の皆さまに『お前らは黙っておけ!』と言っていることなんですよ!」と、飯野氏は街頭演説で叫び続ける。
その飯野氏に接触したのが松戸市議の4名。そのうち原裕二市議と海老原弘市議は、住民投票の署名活動を行なった市民運動家。こども病院視察の後は、同病院の患者家族で「こども病院の人工島移転を考える会」の代表も務める佐野寿子氏と意見交換した。また、移転反対派で早良区から市議選に立候補予定の荒木龍昇氏も会合に参加。その際、どのようなアドバイスがなされたか―。
福岡市と松戸市、時期を同じくして病院移転計画が物議をかもし、再検証されるというシンクロニティーが起きている。今後、同様に松戸市で吹いた『風』が福岡市でも吹くのではないだろうか。
【山下 康太】
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