<片言でもいいから中国・韓国語の接客を>
中村 ところで、どうもこのところ中洲(なかず)がね、昔の中洲でないと。見ていると人の流れも少ないし、景気の悪い話ばっかりある。しかし考えたら、この新年は3月に新幹線も通ってくる。新しい博多のまちづくりが必要になってくると思うんですよね。そういうところで、藤堂ママとしては中洲にどう人を呼ぼうとしているのか、どんな博多のまちを作ろうとしているのか、聞かせて下さい。
藤堂 大げさなことじゃないけど、やはり私たちの商売は、(お客さんが)来て楽しかれば続くんです。1回行って「あんなに高い金とられて面白くない」となれば、もう来ないわけです。だから、あたしたちはまちづくりに便乗して、いらしたお客さんに今まで通りに楽しませてあげようと思います。それには店もきれいでなきゃいけない、女の子もそれなりに揃ってなきゃいけない、そしてママもそれなりにしとかなきゃいけない。
タクシーの運転手さんからは「去年の12月は今までにないくらいヒマだった」ってよく聞くから、新年になってどうなるかという状況は分かんないですよ。一番不景気になって切られるのは交際費なんですよ。しかし今まで、オイルショックあり、バブルが弾けたりしたけども、それでいて全国の盛り場がつぶれたかと言えば、銀行がつぶれる率よりも少ないわけです。
福岡というのは、九州のなかで一番いい地の利だと思うんです。新幹線だけじゃなくてもアジアから見ても。うちもね、中国とか韓国からのお客さんが多いんです。韓国語は3人ぐらい話せる人がいるのですが、中国語は誰もおらんのですよ。でも、中国人の女の子はいらんと、中国のお客さんも喜ばんから。日本人で片言でもいいから中国語をしゃべれるスタッフを、これからはサービスの一環として育てようと思っています。
あたしね、外国の船が着くところを見に行ったんですよ。そしたら、「三越、ベスト電器、マツキヨ」って言っているんですよ。それで岩田屋の社長に言ったんですけど「これからは中国語の通訳を置かんとダメですよ」って。
やはり今ね、中国人、韓国人が多いって言うなら、その方たちは富裕層でお金があるんだから、そういう人をとりこんで、日本が沈んでいるときに、しばらくは海外の人でいただきましょうとか。うちがね、福岡だけのお客さんだったらつぶれていると思うんですよ。
中村 しかしね、僕が「そこが面白い!」と思うのは、今の企業だったら、絶対に中国人、韓国人のツーカーで話せる人たちを雇っているはずなんですよ。そんな人じゃなくて「片言でしゃべれる人」という発想が面白いですね。
藤堂 たとえば、私たちが外国に行くじゃないですか、まあ英語ぐらいならそんなに困らんけど。中国に行けば全然わからんやないですか。「ニイハオ!」とかさ、そんなんはわかる。そこで中国人が、日本語で「大丈夫?」って言ってくれたら、嬉しいわけですよ。
だから日本人も片言でいいんです。たとえば、昨日もフィジーとオーストラリアのお客さんが見えていたけど、どちらも英語だけど、日本人が「Greeting , nice to meet you!」とか「Where are you from?」と言うと、「ドーモ、Sure Yeah!」って喜ぶわけですよ。
【文・構成:長丘 萬月】
中村 もとき (なかむら もとき)
1941年7月10日、福岡市生まれ。西南学院大学商学部卒。大卒後、RKB毎日放送に入社。若者向け深夜ラジオ番組、夕方のワイド番組などで人気を集めた。RKB退社後、フリーとなり、99年4月よりKBCの「中村もときの通勤ラジオ」のメインパーソナリティーとなった。通勤ラジオ終了後は、アナウンサー時代から数々のコンテストに入賞した腕前を持つ写真業を本格化させる。
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