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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (72)
経済小説
2011年2月28日 15:37

平成20年11月「解雇通知」

<再生戦略>

 11月に入った。
 私は、依然、私的整理がテーブルに乗る可能性を捨てきれないでいた。しかし「それはそれ、これはこれ」である。ほぼ100%民事再生を出す覚悟を決め、次のステップに向けて準備を進めた。11月13日までには、私的整理の可能性について地銀からの回答がある予定である。回答が「否」であった場合は、その翌日14日に、いよいよ民事再生の申立を行なうこととなる。
いよいよ民事再生の申立を行うこととなる... 申立に必要な膨大な資料のほとんどは総務部長にリーダーシップをとってもらい、まとめていった。債権者目録などに会計に絡む部分は経理部長が中心となった。当社は、不動産管理業を有しているため、民事再生にも、通常の製造業や販売業と異なる性格がある。不動産の賃貸借に伴う敷金請求権の対応である。このため、これらの資料作成は予想以上に難航したが、しかし、申立に間に合うように資料が集まってきていた。

 そういうなか、私の一番の課題は民事再生後の戦略をまとめることであった。
 下敷きになるものとしては、8月の苦難の第1四半期決算時にまとめた経営再建計画があった。これに加え、東京支社も撤退することとした。これで事業所は本社と、市内2箇所の賃貸ショップのみとなった。
 これまで数十人の社員を擁してきた不動産販売事業は廃止することとした。そして、売買の仲介のみに絞り、若干名の営業社員を置くのと不動産管理に配置転換して継続雇用する社員を除き、不動産販売事業の社員は解雇することとせざるを得なかった。この要員計画は前回リストラ議論が難航した反省を踏まえ、岩倉社長のリーダーシップにより各担当役員と調整し固めていった。管理部門についても、私は、もはや上場会社としての管理体制が不要になることを踏まえ、50%の減員を行うことを決めた。民事再生を出した後に予想される混乱を考えると不安だが、それでやるしかないと腹をくくった。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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