<あからさまな選挙干渉>
麻生渡福岡県知事が、政党の選挙方針に介入したことが明らかとなった。
麻生知事が知事選がらみの電話をかけていたのは、県政野党であるはずの民主党福岡県連幹部の県議ら。圧力か、談合か、憶測を呼ぶ事態となったが、立場をわきまえずに自身の我を通そうとする姿に厳しい批判の声があがっている。
民主党関係者などの話によると、麻生知事が同党県連幹部の県議らに電話をかけてきたのは2月8日頃。麻生知事が後継に推す元内閣広報官・小川洋氏が同党に提出した推薦願いの取り扱いについてだったとされる。つまり、「推薦するな」ということだ。自民党県連が小川氏の推薦願いを一蹴した後だけに、不人気の民主党だけが小川氏を正式推薦すれば不利になるとの読みがあるものと見られる。
8日には九州電力の松尾信吾会長の音頭取りで、七社会を中心に地元経済界の20社ほどが集まり、小川氏の支援を決めていた。この前後から小川氏周辺には、「県民党」を表看板にするため、民主党への推薦願いを取り下げ、政党色を薄めた方が得策との見方が出ていた。
10日に開かれた県議会では、代表質問に立った自民党県議が「民主県連幹部に電話したというのは事実か」と質問。麻生知事は答えをはぐらかしたが、議長から答弁漏れを指摘され再登場。「(支援する)小川氏は県民党の立場で活動する。(自分が)役立つことは積極的にやる方向」と事実上、電話をかけたことを認めたかたちに。
「電話をかけた」と答えてしまえば、議会が紛糾し、県民の批判を浴びることは必定。口が裂けても電話した事実を認めることはできなかったのだろうが、否定すれば「虚偽答弁」だ。結局、前述のような苦し紛れの答えとなった。いずれにしろ明らかな選挙干渉である。
引退間近とはいえ、現職知事が野党の方針決定に指図することは非常識。民主党としては抗議して当然だろうが、経済界の一部と結託した連合福岡の高島会長らに頭を押さえつけられた民主党議員らには抗する術もない。
「院政」を敷くことに執念を燃やす麻生知事。なりふり構わぬ姿は、まさに「妄執」の一語がふさわしい。
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