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カギは人材育成の強化~JR博多シティVS天神(2)
特別取材
2011年2月15日 07:00

<500万商圏で自社ビルが採算ライン>

 JR博多シティが差別化の切り札として誘致した東急ハンズ。同社はもともと東急不動産が東京・渋谷に所有していた傾斜の遊休地を活用し、スキップフロアを用いて販売効率を高めた雑貨業態である。
東急ハンズがどこまで男性客をとらえるか  商品はプロやマニア向けの工具類から趣味の材料、用品等々まで十数万アイテムにも及ぶ。売場はフロアごとに同じ部類の商品を展開し、各材料を適量で小分けして販売するという都市型ホームセンターの先駆けとなった。
 ただ、客単価が衣料品ほど高くなく荒利益も低いため、5,000m2規模の大型店で、100万人規模の大都市展開、商圏人口500万人以上、さらに自社ビルであることがビジネス成立の条件と言われている。
 一般のホームセンターがこれだけを集客するには、相当数収容の駐車場を完備しなければならない。言い換えれば、東京のような交通アクセスのいい立地だからこそ、成り立ってきたビジネスモデルなのだ。
 90年代後半、ショッピングセンターの開発ラッシュで、同店は必ずと言うほどデベロッパーのリーシング候補にあがった。しかし、簡単に出店しなかったのは、地方では採算ラインをクリアできないからだ。
 もっとも、東急ハンズが圧倒的な商品力を駆使して顧客をとらえていたのは、90年代まで。インターネットが普及した2000年以降は、マニア向け商品のほとんどがネットで購入できるようになっている。
 しかも、福岡では99年、西鉄福岡駅再開発でソラリアステージにインキューブがオープン。さらに07年には天神ロフトも開業し、100円ショップなどを含めて雑貨業態は厳しい戦いを繰り広げている。
 JR九州の唐池社長は、東急ハンズで男性客にアピールする戦略を口にした。だが、ネット販売が普及した今日、どこまで男性客を引きつけられるかは懐疑的だ。

<いちばんの期待できる駅ナカ業態>

 駅ナカ業態とは駅構内に出店する店舗をさす。駅利用者は外に出ることなく買い物や食事ができ、出店企業は大勢の利用客を取り込め、鉄道事業者は入場券収入が見込めるという三者三様のメリットがある。
 特に出店企業にとっては構内という立地、利用客の時間制約、利便性、購買動機などから、知恵を絞った業態開発や営業戦略を行なわなければならず、その結果、近年にないユニークな店舗が出現している。
 一例をあげると、ドレスシャツ専門店の「メーカーズシャツ鎌倉」。神奈川の大船店は駅ナカにあり、品川店や秋葉原店も近接店舗で、博多シティへの出店も決まっている。
メーカーズシャツ鎌倉は駅ナカ業態の成功組  標準店の面積は15坪前後で、商品は4900円の国産ドレスシャツに特化。お客は首回りサイズごとに天井まで積み上げられた壁面棚から好みのものを選ぶ。ほとんどがリピーターになるため品定めが手慣れ、最低人員のスタッフで運営できるなど、効率がいい。
 同店は駅構内店がルーツではないが、利用客にとって短時間で必要な商品が購入でき、店側にとっても省スペースで高回転の商売が可能になるなど、駅ナカにピッタリな業態となった。ビジネスマンやOLの利用客が多い博多駅でも、快進撃する可能性は高い。
 もう一つは、フルーツや野菜を使ったジュースをその場で提供するジューススタンド。博多シティでは南国フルーツの「キャンベルアーリー」が出店するが、京阪電鉄管内のジューサーバーは駅構内の立ち飲み店として絶好調だ。
 注文を受けて作るのは従来のスタンドと同じだが、ここは牛乳や氷を入れて飲みやすくしたり、時間に追われる利用客向けにサイズを小さくしたりと工夫を凝らす。1杯ごとにポイントが付き、20杯で無料になるという特典も、リピーターづくりに貢献している。
 その他、ユニクロはすでにデイトスで駅ナカ業態を展開する他、ユナイテッド・アローズも新業態を羽田空港に出店するなど開発に前向きだ。JR九州とっても駅ナカ業態が重要になるのは間違いなく、今後も的確なテナントリーシングが求められるようだ。

(つづく)

【釼 英雄】


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