PFI手法を採用することの効果について、細かく述べますと、まず、(1)低廉かつ良質な公共サービスの提供ができること。つまり、民間事業者の経営ノウハウや技術的能力を活用でき、設計・建設・維持管理・運営など事業全体を一体的に効率的に管理することにより事業コストの削減が期待できます。
次に、(2)民間の事業機会を創出し、地域経済の活性化をもたらすことができること。つまり、国や地方公共団体などが行なってきた事業を民間事業者に委ねることにより、民間に対して新たな事業機会をもたらします。また、他の収益事業と組み合わせることによっても、新たな事業機会を生み出すこととなります。
さらに、(3)自治体の効率的な財政運営に効果があること。つまり、財政支出の低減化、平準化などにより、資源配分のマネジメントに資することができ、柔軟で効率的な財政運営に寄与することができます。また、「計画段階からリスク処理の明確な対応方針を決定して事業に着手すること」になるため、従来方式における改善すべき点が明確となります。
福岡市においては、高度経済成長時代に整備された多くの公共施設などが間もなく大量更新時期を迎えます。したがって今後ますます、財政支出を軽減させる工夫が必要となってきており、施設更新に伴い、PFIなど新たな事業方式の活用を積極的に検討しなければなりません。
そのようなことから福岡市では、PFI手法を早くから採用してきており、「臨海工場余熱利用施設整備事業(タラソ福岡事業)」をはじめとして、(株)福岡クリーンエナジーや国際会議場、葬祭場など第三セクター方式のPFI的な手法も含めて積極的に取り組んでいます。
ただし、公共事業における官民協働手法であり、経済的効率性のメリットがあるPFI手法も、魔法の杖ではないので、やはりデメリットもあります。
<プロフィール>
寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)
福岡県立修猷館高校、福岡大学法学部法律学科を卒業。1987年に福岡市役所入庁後、総務局法制課、人事委員会任用課、情報公開室係長、市長室経営補佐係長、議会事務局法制係長などを歴任し、2010年8月退職。在職中、主に法律関係の職務に従事するとともに、市長直属の特命業務や議員提案条例の支援を担当するなど、市長部局と議会事務局の双方の中枢業務を経験。
現在は、行政書士事務所を開業して市民の身近な問題の解決をサポートするとともに、地域主権の要となる地方議会の機能強化を目指し、議員提案条例アドバイザーとしても活動中。
<主な実績>
・日本初の協定方式による第3セクターの情報公開制度の条例化
・日本初のPFI事業(タラソ福岡)の破綻再生
・日本初の「移動権(交通権)」の理念に立脚した議員提案条例の制定支援
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