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破綻した岡山の老舗企業「林原」、オーナー逮捕に進むのか?(3)
倒産を追う
2011年2月 1日 07:00

<オーナー経営の永年の膿が露呈>

林原、事業再生ADR申請 同社が事業再生ADRを申請したことで明るみになったのが、粉飾決算だ。経営陣は1984年以降、不適切な会計処理を行なっていたことを認めた。金融機関に開示する資料などで、売掛金の架空計上を繰り返していた。関係者によれば「90年10月期から01年10月期まで売掛金や売上高を過剰に計上した資料」を金融機関に提出したそうだ。架空計上額は年間2億円から50億円で総額は288億円。

 このほか、84年以降、支払利息を資産に計上し利益を水増しするなどのケースがあった。同社は純資産約143億円としてきたが、架空計上分などを差し引くと、実際には約540億円の債務超過となっている。この架空計上が原因で「背任容疑で逮捕につながるのでは」と囁かれている。

 半年前、「代表取締役社長の林原健および弟で専務取締役の林原靖が魂を中国人に売った」との噂が関係筋のなかで蔓延した。同社の持つ保有資産のなかで代表的な物の1つに、JR京都駅前に建つ京都センチュリーホテルがある。「このホテルを昨年、中国の資産家に売却した」との情報が流れたのだ。林原グループのメインバンク・中国銀行は、「有力株主である林原に中国資本が入ったとなれば面倒なことになる」と判断して林原を見切ったようだ。中国銀行株を中国資本家が保有すれば、銀行にとって「都合が悪い」と見ているらしい。中国銀行は、すかさず「林原に過去の粉飾決算や代表者の背任行為などを許す代わりに、林原には『倒産』の二文字を突きつけた疑い」があるのだ。読者は、この中国銀行と林原、中国資産家の話をどこまで信用するかは自由である。

 林原は事業再生ADRという私的整理手続きに入り、林原健および林原靖は役員を退任した。新たにグループ企業の林原生物化学研究所、林原商事から役員3名が林原の新役員に就任し事業再生を目指している。しかし、この3名は雇われ社長で、再生するだけの決定権を持たされているとは到底思えない。なぜなら、事業再生ADR手続き後にも不透明な資金操作が見られるからだ。早期に民事再生法の適用など法的手段に移行することを切に願うとともに、保有資産売却後、岡山駅前開発が進み活性化されることを岡山県民は望んでいる。

(了)

【特別取材班】

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