市議会解散の是非を問う住民投票が20日に実施される鹿児島県阿久根市で、9,266名分集まったリコール署名に対し、現職の阿久根市議７名が計598件の異議申し立てを行なっていたことが分かった。

　16日、阿久根市議会リコール実行委員会の委員長・石澤正彰市議は、自身のブログで市選挙管理委員会が公開した資料をもとに、異議申し立てを行なった市議の実名と内訳を公開。同ブログおよび同資料によると、ひとりあたりの件数で最も多かったのは261件。次いで159件、116件と３名が100件を超える異議申し立てを行なっていた。
　また、異議申し立てのうち、確認のため235名が出頭依頼を受け、87名がこれに応じて出頭。ここで有効から無効になったのは38件という。ちなみに、全体の有効署名は8,768名分であった。
　なお、同資料は、７名の市議別の出頭依頼人数と出頭人数が空欄となっており、石澤氏は16日、当該箇所を明らかにするよう情報開示請求をかけたという。

　ひとりで100名を超える署名の異議申し立てを行なう執念たるや、並々ならぬものを感じるが、それによってさまざまなトラブルも生じた。
　阿久根市職員によると、ある４人家族は、それぞれの署名について「筆跡が似ている」とのことで出頭依頼を受けた。それぞれが直筆であると激怒した父親は職員に「誰が異議申し立てをしたのか」と詰め寄ったという。また、ある人物の署名は、「年齢が若いのに代筆はおかしい」との理由で異議申し立ての対象となった。市役所にやってきたのは、自筆が困難な身障者だったという。なお、呼び出された市民には「費用弁償」として一人あたり4,600円が支払われる。出頭した87名分で約40万円。

　この一連の騒動は、市議会を問題視する市民の怒りの火に油を注いだ。なかには怒りを通りこしてあきれ果て、「なんで自分たちの首をしめるような行為をするのだろうか」といった冷ややかな声もあがっている。
　現在、阿久根市では「阿久根市議会の解散を成功させる市民の会」という市民グループの街宣車が、市議会解散への賛成を呼びかけ走り回っている。石澤氏は「不正があった市選管職員は変わっているが油断はできない」として、なるだけ投票日に投票を行なうことを呼びかけているという。

▼関連リンク
・石澤正彰市議ブログ

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