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民主党 「ドン菅・臨終内閣」の罪~延命装置ズタズタで浮遊霊状態(下)
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2011年2月21日 17:00

 菅首相本人を含め、仙谷官房長官、枝野幹事長という学生運動経験者による昨年6月の第1次「内ゲバ内閣」、「内ゲバ執行部」から、昨年9月の第2次、そして現在の第3次改造内閣・執行部は、「小沢排除」に血道を上げること自体が支持率維持になると勘違いしていたのではないか。そんな茶番劇に延々とつき合わされた国民はたまったものではない。

国会議事堂 同様の延命装置がTPP(環太平洋パートナーシップ協定=環太平洋戦略的経済連携協定)だ。
 TPPについては昨年の菅内閣発足時、誰に入れ知恵されたのか所信表明でさりげなく触れてはいたが、消費税論議同様にもともと党内で議論されてきたものではない。それが尖閣問題勃発後に唐突なまでに前のめり姿勢となり、11月には日本として参加するか否か、今年6月までに態度表明することを閣議決定した。
 しかし、米国や豪州など新たにTPP参加を表明している国の多くが農業大国であり、逆に自動車に代表される産業界には有利になるため、米国と経済界へのおもねりと見られるのも当然。農水省や農業団体はもとより、与野党を問わず反対表明する議員が続出して国家的な議論に発展。党内では政策調査会に「APEC・EPA・FTA対応検討事務局」(山口壮座長)を設置したが、「反対論もあるだけにこれから議論、勉強して整理するつもりですが、いまはそのための雰囲気づくりの段階」(事務局長の藤末健三議員事務所)。しかも反対派の多くが親小沢とあってはとても6月までに結論を出せる状況にはない。

 そこで先の第3次改造内閣、いわば「死に体」内閣で仙谷官房長官に代えて新たな命綱にしたのが与謝野馨経済財政担当大臣。「税と社会保障の一体改革」という消費税導入を念頭に置いた新布陣を敷き、小泉・竹中コンビの郵政民営化路線での延命に倣ったものの、与謝野氏起用そのものが与野党の強烈な反発を招いているのは周知の通り。とりわけ今だに「陰の総理」意識の抜けない仙谷代表代行は、与謝野氏への対抗意識むき出し。一体改革を決定する政府・与党社会保障改革検討本部(菅本部長)内に与謝野氏主導で実質決定機関「集中検討会議」が設置され、与謝野氏お気に入りの財界、労働界、学者らが名を連ねると、仙谷氏はすかさず新たに自分の意に沿うメンバーを送り込むなど、「内ゲバ」体質まる出し。一波乱、二波乱必至で、こちらの6月改革案とりまとめも見通しは暗い。

 一方、外交、防衛は八方ふさがり。ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問に、「許し難い暴挙」と噛みついたものの、とても深謀遠慮の末の発言とは思えず、自ら年内訪ロの芽をつみ取ってしまった。懸案の中国については、2月6日に中国問題に関する有識者懇談会を立ち上げたが、参加メンバーはほとんどが中国と大なり小なり経済的繋がりのある財界人ばかり。領土問題をはじめとする外交、防衛の専門家はいない。
 さらにここにきて鳩山由起夫前首相による普天間基地に関する「方便」発言である。参考人招致を要求する野党の前には予算審議どころではない。拠りどころにしたい米国も民主党政権をまともに相手にするとは考えられない。
 菅内閣は総辞職か、展望のない解散か。成仏を願う読経の声が高まり、49日が近づいている。

(了)

≪ (上) |

恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。

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