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ドン・キホーテの夢(2)~福岡に目的地をつくること
特別取材
2011年2月25日 07:00

 日本トレイド(株)の山崎和則社長のアイディア「アイランドシティにパラマウントとUCLAエンターテインメントエクステンション(UCLAのプログラムによるパークで働いてお金をもらいながら教育を受けるインターンシップ)を誘致する」。できるかどうかはひとまず考慮に入れず、それができたらどうなるのか、から考えていこうと思う。

福岡ドーム(ヤフードーム) 福岡には目玉となる「場所」がない。「福岡ドーム(ヤフードーム)があるではないか!」という声も上がるかも知れないが、福岡ドームは言うならイベント会場であり、美しい構造物ではあるもののそれ自体が人を呼ぶのではない。あくまでもイベントが来場者の目的である。そういう意味でヤフードームは「場所」には当てはまらない。ほかには何か思い当たるか、と言われたら見事なほどにないのである。

 関東や関西に住む知人にいつも言われることがある。
「福岡はご飯がおいしいとか、コンパクトで住みやすいとか言われるが、観光でわざわざ行く目的がない」
 中国や韓国から来福される観光客の方々も考え方は同様のようで、福岡に降り立って、翌日は別府の温泉に行ったり、指宿で砂蒸しを楽しんだりと他県に飛び、帰国前に電気量販店で買い物をして帰る。こんなパターンが人気だという。アジアに開かれた玄関口、としての役割は担えているだろう。けれども、現状はおいしいところをすべて持っていかれている、ただの玄関マットにされているだけのように感ぜられるのだ。

 千葉の舞浜には「わざわざ」出かける。なぜか。ディズニーランドがあるからだ。USJもしかり。東京スカイツリーもしかり。行きたい場所が、目的となりうる場所が、あるから行くのだ。福岡には今のところ決め手となる"何か"がないのだ。観光都市を目指すのならば、今のソフトツーリズム(歴史や名物といったその土地に根付いた無形資産)に頼ってばかり充分満足いく結果は得られないのではないだろうか。脱ハコモノの世相だが、決め手になるものもあってもいいのではないか。これまでなかったから必要ない、とは言っていられないほど事態は切迫している。これまでなかったからこそ福岡は不完全燃焼を続けているとも言えるのだ。福岡市に来る目的となる場所を。これが第一原則としてのアイランドシティ誘致の意義である。

(つづく)
【柳 茂嘉】

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