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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (75)
経済小説
2011年3月 3日 15:17

<申立前後の行動計画>

 民事再生を出すことにより当社は倒産会社のレッテルを貼られ、顧客や取引先が離れていくことが懸念された。特に、申立直後の2~3週間の初期対応で勝負が決まるように思われた。そのため、申立前後の行動計画は入念に策定した。
 民事再生を出すと(実際には民事再生を出す前から倒産の風評が流れると)、取引先は様々な形で各自の債権の保全を図ろうとする。当社の場合も、8月14日の第1四半期決算でGC注記がついてから、そのような動きが周辺に多数現れた。
 まず、当社が好条件でサブリースを行なっているにもかかわらず、物件の管理を早急に他社に切り替えたいというオーナーが何人も現れた。取引先のなかにも「10月1日から現金払いに切り替えてください」というような申し出をするところが出てきた。
 これが民事再生となると、在庫商品やリース資産を持ち去られることがあるらしい。これらのことにどのように対応するかについて検討した。これが民事再生となると、在庫商品やリース資産を持ち去られることがあるらしい。これらのことにどのように対応するかについて検討した。

民事再生を出すことにより当社は倒産会社のレッテルを貼られ... 福岡には、当社に先立ち民事再生を出した中堅の管理会社があるが、その処理が難航していたという話も聞いた。
 その会社は比較的早期から不動産証券化にも取り組み、未上場株の取引市場であるブルーシートに株式を公開。上場を目指していたが、あるときから利回り10%の社債を売り出したりしていた。さらにリゾートクラブ運営に手を出し、怪しい会員権の販売に手を染めた。後には、資金を預かっているマンション管理組合に対して会員権を売るようになった。民事再生後は「入居者は家賃を直接オーナーに振り込んでください」という方法をとったが、これにより "オーナーに代わって入居者から家賃を回収し、滞納があれば督促する" というオーナーにとってもっとも重要な家賃回収機能を放棄してしまうことになった。このため、この会社は見る見るうちに管理物件を失っていった。
 この事例から私は、 "入居者から家賃を集金して、それをきちんとオーナーに送金すること"が不動産管理事業の要諦だと考えた。

 この家賃集金~送金の流れを守るために私は、まず申立直後に全入居者へ速達で「これまでどおり事業を運営するので、慌てて退去などしないでください」というメッセージを発送することにした。さらに、信用不安を消し去り安心感をもってもらうため「今後は裁判所の監督下で事業を継続するので、家賃はこれまでどおりの口座に安心して振り込んでください」と記載した。このような手紙を申立日である14日金曜日に発送し、15日午前中には各入居者に届くよう手配した。
 家賃集金は多くの場合、集金代行業者による口座引落で対応していた。銀行系の集金代行業者が毎月決まった日に入居者の個人口座から家賃を引き落とし、その資金を翌月までに当社に送金してくれていたのである。そのため申立の翌週から、この集金代行業者に今後も同じように口座引落と当社への送金をしてもらえるよう、交渉することとした。業者ごとに幹部が交渉に当たり、業者から監督委員の文書や申立代理人による依頼状等の疎明のための書類を積極的に提出することとした。
 取引先および一般管理のオーナーに対しても同じタイミングで文書を発送し、こちらは翌週の11月18日火曜日に債権者集会を開催することとした。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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