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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (80)
経済小説
2011年3月 8日 11:33
 しかし、サブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機が到来。金融機関による不動産ファンドに対する融資が事実上ストップした。今年の春以降、契約済み物件の解約や販売予定先の経営破たんが生じた事で、開発物件の販売が頓挫した。また、改正建築基準法の適用に伴い、確認申請に要する時間が延びたことで販売機会を逃すなど、同社を取り巻く環境は悪化、物件の売却による資金捻出を模索していたが、ついに力尽きた。

 民事再生を決断した理由について、黒田会長は「中間決算の発表期日が本日でした。まずは9月末の時点ではある程度は乗り越えられると思っていました。とくに第1四半期(4月~6月)にかけて、若干不動産価格の下落が落ち着いたと考えていましたが、その後、10月には株価が2分の1近くまで下落しました。福岡ではアイチ自動車九州を見ても相当な人員のリストラや利益の相当な減額を発表し、期待を持っていた地場企業がことごとく大変な状況になりました。また、金融機関の対応が3月末時点と4月以降では大きく変化したことや、当社の所有する天神土地は3月前に売却が決まっていましたが、『この物件の売却が決まれば他のプロジェクトが着工できる』という口頭での金融機関との口約束をしていたものの、その後お断りされた。ここ1、2年で現状を回復するのは困難と考え、10月中旬位に(今後の経営の存続が困難だと)判断しました。今月20日にはビルの支払い期日が迫っており、20日に(民事再生法を)申請した場合は、遅延や延滞といった問題が発生し、逆にご迷惑がかかると思い、本日発表するに至りました」と法手続きに至るまでの心境を語った。なお、一般管理者に関しては期日に通常通り支払うとしている。

 負債額は08年11月14日現在で181億円。一般債権者数が5,035社で債権額が約41億円、金融債権は銀行11行で約140億円。具体的なスポンサーはまだ決まっておらず、「できるなら福岡の企業にスポンサーになってもらいたいのが希望です。早ければ明日から着手したい」ともコメントした。
 再建へ向けての陣容は、黒田会長、岩倉社長を含む8名の役員は残留。現在105名いる社員は5割から6割を削減する。退職者に関しては再就職を全力でサポートするという。黒田会長は再建の目途がつくまでは無報酬、岩倉社長は給与77%カット、他の役員は47%~72%をカットし、今回の経営責任を明確化する考えだ。また、新入社員の給与は10%、管理職は30%のカットを行なう。再建に向けて、現場の社員にとっても痛みを伴うものとなった。

 営業拠点の札幌、大阪、名古屋、東京、鹿児島の各営業所を閉鎖、福岡のみを残す。当初は東京と福岡を残すとしていたが、地元の地盤を固めるとの考えから福岡のみを残すこととした。
 再建にあたっては、不動産の売却を早急に行なう考えだ。特に金額の高い東京都新宿区のテナントビル(1月竣工予定、約40億円)、天神南部土地(約30億円)の所有不動産を処分したいとしている。

同社を取り巻く環境は悪化、物件の売却による資金捻出を模索していたが、ついに力尽きた...

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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