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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (84)
経済小説
2011年3月12日 07:00

<携帯電話手当の廃止問題>

翌日は、予定どおりサブリースのオーナー向けの説明会があった... 翌日は、予定どおりサブリースのオーナー向けの説明会があった。ここでも、黒田会長を筆頭に営業系の取締役が全員参加し、集まったオーナーに、ご心配をおかけしていることに対するお詫びをし、今後の再生手続きについて説明した。
 前述のとおり、裁判所から保全命令が出たため11月20日に送金する予定の家賃1か月分は支払えなくなった。そのため、これは、当社が先にオーナー様に差し入れている敷金と相殺していただくことで、経済的な損失がないように配慮した。そのうえで、これまでオーナー様に有利な条件で続けてきたサブリースはもはや継続することができず、一般管理への切替えをお願いするが、それに応じていただければ12月の送金は何ら支障なく可能である旨説明し、極力その場で同意書に捺印をいただくようにした。

 営業部では稲庭部長がX取締役より指示されて随時面談を行っていたが、昨晩の司令官の敵前逃亡の結果、営業部門の雰囲気はすさみ、モラルは地に堕ちていた。幹部クラスを含め、会社が継続雇用を意図したほとんどの社員が辞めるといい、収拾がつかない事態となっていた。
 マネジメント部は、存続予定事業であり、解雇予定者は少なかった。しかし、ここも営業部のムードが伝播し、退職希望者が出てきていた。新卒者だけは何とか守りたいという黒田会長の意図にも係らず、新卒者も総務・経理以外はほとんどが退職するといってきた。
私は、スムーズな再生手続きは軋れきが少なく解雇が済むか否かにかかっていると思っていたが、逆に、戦力確保の心配をしなければならなくなった。
 このため、マネジメント部長の牧田取締役(この人は、昨年までは営業部の課長であり、営業部の社員と気持ちが近かった)が、心の通じている営業社員に対して再生に向けての決意を説いていった。稲庭取締役も、必要なことは再生に向けたゆるぎない意思を持って社員に説くことであると理解し、何人かを翻意できた。私も会社全体の戦力確保のため、部下で私の指示に従います、といった社員に対し、改めて残っていっしょにやってくれ、と説いた。
 総務部長にも、新卒社員が皆で連なって辞めてゆくというので、その真意を探るよう、会長から指示があったようであった。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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