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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (86)
経済小説
2011年3月15日 11:36

<申立後の資金繰り>

 民事再生を申立が受理されると、裁判所は会社に対して保全命令を出すことはすでに述べた。これによって、会社は申立日までに発生した債権の弁済を禁じられる。これよって当社も、11月20日に支払う予定だったサブリース家賃と外注費を支払えなくなった。これにより1カ月分の支払い資金が社内に残ることになり、会社は当面の資金繰りができることになった。

<債権者集会と申立後の戦略>

黒田会長は誠心誠意自分の言葉で説明をしてゆく姿勢で臨んだ... 11月14日金曜日に民事再生を申立て、翌15日土曜日から17日月曜日にかけて、本社の会議室でサブリースオーナー向けの説明会を開催した。
 内容はこれまでに記したとおり「11月20日のサブリース家賃を支払えず、12月1日より一般管理に切り替えていただければ、12月20日以降の家賃は確実に送金できます」というものだが、オーナーの反応は予想以上に好意的であった。もちろんクレームは多かったが、黒田会長は少々間違いはあったとしても誠心誠意自分の言葉で説明をしてゆく姿勢で臨んだ。やはり創業者が24年間をかけて築いてきた顧客基盤は簡単に揺らぐものではない。地元のK不動産を始めとする取引先やオーナーズクラブの古参オーナーの方々は当社の民事再生に対して、どのように対処していくか連日のように集まって意見交換をし、皆で解約することまで考えたが、やはり踏みとどまったと聞いている。影ながらグループを支えていただいたK不動産の方々に感謝している。
 18日火曜日には、市内の貸しホールで銀行・取引先などの一般債権者に対する説明会があった。ここでは冒頭に黒田会長がお詫びをするほかは基本的には弁護士が中心に説明したが、ここでも特に感情を帯びた質問に対しては黒田会長が自らの言葉で答えようとしていた。

 後日、当社の社外監査役の弁護士から
「普通は、債務者の社長は壇上で冒頭の挨拶をするだけで、あとは弁護士にまかせきりという方がほとんどですが、黒田会長は真摯に対応されていましたね」
 と感心された。私も同感であり、私自身も事業存続に向けてモチベーションを維持するうえで黒田会長の存在は不可欠だった。


〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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