B・B香椎本店リニューアルオープンに際し、隣のヤマダ電機「テックランド福岡香椎本店」では、当然と言うべきか価格合戦が繰り広げられていた。リニューアルオープン初日から10日ほど経っても、多くの社員が自店のチラシではなく「B・B香椎本店」のチラシを持ち歩き、価格をチェックする姿が散見された。
TV売り場で某メーカーからヘルパーとして来ていた人物に話を聞くと、「B・B香椎本店が当社の32型液晶テレビを37,800円で売り出すことになったので、同じ商品を在庫があったヤマダのほかの店舗から一気に集め、香椎本店限定価格37,700円で急きょ売り出した。本当に急だったため、広告も出していない。常に隣を意識し、価格を変えている」という。
対する「B・B香椎本店」の某メーカーのヘルパーは「昨日、今日はオープニングセールですごく人が多かった。常に値下げ競争なので、隣のヤマダのスタッフ2人が価格チェックに来ていた」と話す。こんな交渉術も教えてくれた。「『他店対抗』という赤い札がある商品は、価格を下げられるもの。たとえば、『いまなら28,800円』とあるものは、交渉すれば少し下がる。そこでお客さんが隣のヤマダなど他店に行こうとすると、『いますぐ買うなら26,800円にしますが、10分後には戻します。価格変更は一度までです。それでも良ければ、どうぞ隣のヤマダさんに行ってください』と説得して何とか買ってもらう。また値札で、『さらにお安くします』とあるもののなかで、たとえば手書きで『○y4』とあるものは、『ヤマダ対抗価格で4,000円まで下げていい』という印だ」。
やはり、激戦区ならではのマーケティング・価格競争が行なわれている。その意味で、「B・B」ブランドの展開は、消費者にとってはありがたいものとなっているのは間違いない。とはいえ、社員がレジや発送手続きのカウンターに張りつき業務に忙殺され、実際に販売を一所懸命しているのがメーカーから来た人間という状況で、果たして本当にその店のサービスが会社の経営理念を反映したものとなるのだろうか。
これはベスト電器に限ったことではなく、家電量販店業界の問題だが、いまや家電量販店は、デフレの波に飲まれながらも必死に生き残りを図るメーカーの代理戦争を行なう場でもある。量販店側も人的コストの削減につながり利得となるが、それが行き過ぎれば、ヤマダやエディオンのように独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで公正取引委員会の立ち入り検査を受けたことが報じられ、信用低下につながりかねない。
【大根田 康介、流通取材班】
COMPANY INFORMATION
代 表:小野 浩司
所在地:福岡市博多区千代6-2-33
設 立:1953年9月
資本金:318億3,278万円
年 商:(10/2連結)3,456億1,900万円
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