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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (94)
経済小説
2011年3月23日 15:00

 経理処理と民事再生手続との関連でいうならば、再生債権の経理上の取り扱いも難しい。当社の場合は、上場会社ではあったものの比較的企業規模が小さかったため、大手企業に見られるような"現場の各部署で伝票を起票して、請求書などを証憑として添付して経理に回付する"というやり方ではなく、各部署は請求書のチェックまで行なってそれをそのまま経理に回付し、経理で請求書を見ながら仕訳を切る...という方法を採用していた。そのため、現場の会計に対する認識度は高いとはいえなかった。それに人員減少の混乱もあり、再生債権の経理上の取扱はかなり混乱した。

ひと口に再生債権といっても... ひと口に再生債権といっても買掛金のまま残されたもの、買掛金から預り金に振替されたもの、経理部で請求書を預かるに止め簿外となっているもの、各部署で抱えたまま簿外になっているものなどが混在することになった。再生計画の過程では、監督委員の補助者たる公認会計士が経理の状況をチェックしに来るが、このようなことは民事再生会社では日常茶飯事なのか、報告したもののこれまで問題点として指摘されたことはない。たぶん再生債権は認否作業を持って確定を図るので、経理上のBSの負債はあまり重要な関心ごとではないのであろう。

 これも止むを得ないことではあるが、事業譲渡に当たって各科目別、各取引先別の継承するべき負債の額を確定するに当たり、過去の相手先別の残高推移に留意して継承するべき残高と、再生債権のまま当社に残す債権とを区分けする必要が生じ、手間となった。私自身が経理の実務については明るくなかったことも、このような混乱に拍車をかけた。
本来であれば支払いを棚上げした再生債権は、通常の勘定科目とは分けてどこかひとつの科目にまとめて計上し、後日再生計画が認可された際に債務免除益を立てて消去し、残りを弁済するのが正しいのではないかと思う(後に経理担当の女性の稲峰さんが相当程度調べてここまでやってくれた)。
 ただ債権届出では、通常の経理上の債権だけではなく損害賠償請求権などの金額未定の債権も多く提出されるので、これらを全て経理上の帳簿に反映するのは無理でもある。それに当社のように清算を前提とした民事再生なら、最後にBSが多少汚くなってしまってもあまり困ることはない。しかし既存の法人格のまま再生を目指す場合は、今後も同一のBSで全ての管理をしていくので、この点には特に留意して取り組むべきと思える。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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