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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (95)
経済小説
2011年3月24日 15:08

<認否書の作成>

債権の認否は、一筋縄ではいかない... 何度も述べたように、民事再生手続の開始決定がなされると開始決定日時点の債権および債務の確定作業に入るわけだが、認否とは、そのうち債務の確定の話である。当社の債務は、債権者が当社に対して保有する債権であるが、民事再生を申立てるに当たって、申立人たる会社は債権者リストを作成して裁判所に提出する。この債権者リストは、経理で作成している帳簿などを用いて作成する。開始決定がなされると、裁判所は提出された債権者リストを使って、各債権者に対して債権届出の案内を行なう。これを受け取った債権者は、各自が当社に対して保有する債権の内容を裁判所に届け出る。この債権届出書は、裁判所が集めそのコピーが当社に回付されてきた。当社は届け出られた債権が正しいか否かを調査し、その結果を認否書に記入することで再生債権の相手先および金額を確定していくことになる。

 この債権調査は再生債務者たる当社が行ない、経営企画担当の課長を窓口としてそこに全調査結果を集め、認否書に記入してゆくこととした。これを実行するために業務フローを構築し、森永先生立会いのもと社内で説明会を実施した。
 このフローに従い、各部署での調査を経て再生債権の内容を一つずつ認否書に入力していった。これを代理人弁護士に提出し、調査結果の資料をもとに当該債権が再生債権か否かについて判定していく。これが認否作業である。届出された債権が明らかに開始決定日より前の原因に基づく債権であれば、それは再生債権として認めることになる。いっぽう、それが開始決定日以降の原因であればそれは共益債権であるし、なかには相手先が主張する債権が存在しない場合もある。このような場合は、それは再生債権としては認めない、あるいは存在しないということになる。

 しかし、債権の認否は、一筋縄ではいかない。
 まず、経理で認識している負債の相手先は実は債権者のすべてではない。一定の規模の企業であれば、費用の月締め処理を行ない、当該月の費用は当該月に経費計上するとともに買掛金として計上するのが普通だが、それはすべての支払項目について行なうものではない。少額の割に件数が多いものや月例定額的なものは、買掛計上を省略することも多いだろう。現場から経理に回付する時期が遅いものも、買掛計上できなくなることがある。これらの買掛計上しなかった相手先への支払いは、簿外負債ということになる。これらの債権者は当初提出する債権者リストからは漏れてしまうので、これらをきちんと拾う体制づくりが必要となった。


〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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